脳の老化~年齢には逆らえないって本当?

写真:脳の老化

脳の老化が、年齢を重ねるにつれて気になる人もいるのではないでしょうか。

「物忘れが多くなった」
「顔は浮かぶのに、名前が思い出せない」
「探し物をすることが増えた」

これらのことに心当たりがある人は、脳が老化している証拠かもしれません。

脳機能の低下は神経細胞に原因が!

写真:脳機能の神経細胞

脳の中には数え切れないほどの細胞があり、それらは日々死滅しています。

その中には、ニューロンという神経細胞も含まれていて、色んな情報伝達に関係しています。

私たちは1人ずつ1000億以上もの神経細胞を持っていますが、成人の場合は毎日10万~20万個も減っていると言われます。

神経細胞は減るばかりではなく、新しく生まれることがわかり、脳の老化を防ぐことが期待できると注目を集めました。

ところが、新しく生まれるものよりも減っていく神経細胞のほうが断然多いのです。

そのため、脳内の神経細胞の多くは、古いものということになります。

神経細胞は複雑な情報交換をしている!

図:脳の神経細胞

脳が機能するのは、神経細胞のネットワークで情報が交換されているおかげです。

その情報交換とは、イオンによる電気信号のやりとり。

電気信号として神経細胞に伝わった情報は、その神経細胞の末端にあるシナプスに流れていき、そこで神経伝達物質(脳内物質)に形を変えて放出されます。

そして、次の神経細胞がこれをキャッチする……

これを繰り返していきます。

2つのシナプスの間には、1万分の1ミリほどの隙間があるため、電気信号は流れないために、このような過程になるのです。

シナプスがキャッチした神経伝達物質はというと、そこで電気信号に変えられて次の神経細胞に取り込まれます。

すると、新たな活動が再び始まります。

ちなみに、神経伝達物質は100種類以上もあることがわかっていて、様々な情報処理が同時、かつ速やかに進められているのです。

神経細胞の構造

図:神経細胞の構造

神経細胞は大きさも形も様々です。

すべての神経細胞は、細胞体と2種類の突起から成っています。

突起の1つは、樹木のように枝分かれしていることから、樹状突起と呼ばれています。

樹状突起の数は神経細胞によって異なり、多いものでは数百の樹状突起を持つものもあります。

もう1種類の突起は軸索(じくさく)で、1つの神経細胞に1つだけあります。

各神経細胞体、または太い樹状突起の基部から1本ずつ出ています。

軸索は長く伸び、その先は小さく枝分かれして、他の神経細胞の樹状突起や細胞体に接合し、ネットワークをつくっています。

こうして神経細胞同士が繋がる部分がシナプスになります。

また、1つの神経細胞には1000個以上ものシナプスがあると言われています。

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脳は変化し続けている!

図:脳は変化し続けている

神経細胞のネットワークがよく働く=脳がよく機能する

そういうことになります。

神経細胞は日々減っていますが、一番大量に死滅する瞬間があるのです。

それは親が出産するとき。

この世に生を受けた時点で、赤ちゃんの神経細胞は半減しています。

その後も3歳くらいまでは神経細胞の大量減少は続き、さらに小学校低学年くらいまでは、多くの神経細胞が死滅してしまいます。

以降は成人同様に、神経細胞の減少は1日10万~20万個になります。

神経細胞の数がコントロールされることで、脳内のネットワークにも変化が起こります。

年齢に関係なく、脳は常に変化する可能性を秘めているというわけです。

赤ちゃんの脳は目覚ましく発達する!

写真:赤ちゃんの脳

産まれた瞬間から、多くの神経細胞が減ってしまうのであれば、赤ちゃんの脳はいつまで経っても発達しないように思いますが、そんなことはありませんよね。

神経細胞は不要なものが減ることで、必要なものだけが残り、新しいネットワークが作られていきます。

新しいネットワークが作り上げられていくと、神経細胞やシナプスの数がさらにコントロールされ、ネットワーク自体の働きが高まります。

そして、日々様々な学習や経験をし、赤ちゃんの脳はどんどん発達していくのです。

脳が老化する原因はこれ!

写真:脳の老化

常に変化し続ける脳ですが、やはり年齢を重ねたことによる急激な変化は避けることができないでしょう。

30代~40代に入ると、神経細胞の数が急激に減り始め、脳のネットワーク機能が低下します。

年齢を重ねるにつれて血管が硬くなるため、血行が悪くなってしまいます。

その結果、血液や酸素、様々な栄養などが脳へ運ばれにくくなり、脳細胞は死滅するというわけです。

加齢が一因となり起こる脳の老化は、前頭葉や海馬、小脳と関係することがわかっています。

前頭葉や海馬は脳の萎縮が現れやすいですし、小脳は機能の低下が現れやすい部分とされ、これらが、記憶力の低下やスムーズに身体を動かせなくなるといった『老化』つながっていくと考えられています。

脳の萎縮が進むほど、認知症発生のリスクも高まっていくと言われます。

一番早く老化が始まるのは前頭葉

私たちの脳内で一番早く老化が始まってしまうのは、意欲や創造力、感情のコントロールなどをする前頭葉です。

特に40代では、MRIなどの画像からも委縮していくのがわかるのだとか……。

前頭葉の老化が始まると、次第に意欲が衰えて創造力も落ちていきますし、感情もうまくコントロールできなくなるでしょう。

「顔はわかるけど、名前が思い出せない」

そんな人は、脳内の言葉を記憶している部分から前頭葉への回路が弱まっていると言えます。

こんな習慣で脳は老化する!

写真:脳の老化

最近物忘れが多くなった、やる気が起きないなどという人は、一度自分の生活習慣を見直してみましょう。

以下のような生活習慣を続けていると、脳の老化を招いてしまいます。

21時以降に食事をする
人の悪口を言う
毎日会社と家の往復のみ
運動不足
焦る・慌てる・急ぐ
いつもイライラしている
常にスマホを手放せない
人の目を気にしすぎる

21時以降の食事や運動不足が習慣化している人は、肥満にもなりやすいでしょう。

肥満も脳細胞が傷ついて、脳の成長を妨げる一因になりますから、食生活に気をつけながら、適度な運動をして肥満を防ぐことが大切です。

また、これは女性に言えることですが、高さ10センチ以上のハイヒールを履くのはできるだけ避けることをお勧めします。

ハイヒールは足以外の肩や腰にも痛みが起こる原因になります。

痛みが大きくなればなるほど、思考力や判断力が低下してしまいます。

上記は、すべて脳の老化につながる生活習慣です。

1~2個しか当てはまらない、全部当てはまるなど個人差があるとは思いますが、この脳に良くない生活習慣を少しずつでも改善していくように努力しましょう。

持病が脳血管をも老化させる!?

写真:血圧計

毎日の食生活や運動不足などの生活習慣が原因となり、高血圧や高脂血症、糖尿病などの持病を持っている人は、脳血管の老化にも要注意です。

脳機能を保つためには、脳内の血管の状態も良くなければいけません。

ところが、高血圧や高脂血症、糖尿病などの持病を抱えている場合、動脈硬化を招く危険性が大きくなります。

動脈硬化が起こると、脳の血管の老化が急速に進み、とてももろく破れやすくなってしまうのです。

脳梗塞や脳出血など重大な疾患を引き起こしてしまうため、充分に注意する必要があります。

高血圧や糖尿病などの持病がある人は、早いうちに適切な治療をうけるようにしましょう。

症状が軽い段階で持病の治療をきちんと受けることで、脳血管の老化を食い止め、脳梗塞などの重大な疾患の発生を予防することができます。

投稿者プロフィール

脳科学吉宗
脳科学吉宗
脳を研究しつづけてきました。脳をきたえる為のトレーニング方法や病気と脳の関連性の記事を書いています。右脳と左脳の違いや動物の脳と人の脳の違いも研究しています。
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