しょうがは料理のメインとして使われることはあまりない食材ですよね。しかし、生姜を入れることでメインの食材の味を引き立ててよりいっそうおいしくしてくれます。薬味としてのショウガがないとちょっとなにか物足りない…と感じる料理もあります。また、漢方薬としても利用されることが多いしょうがには健康に役立つ成分がたくさん詰まっています。日本だけでなく、世界中で使われている生姜とその使い方や種類を見てみると、知らなかった生姜の便利な使い方や魅力がわかります。
生姜とは
しょうがはアジアや東南アジアが原産の植物だといわれています。温かい気候の地域に生息する植物で、ある程度の湿度や保湿力のある土壌を好みます。そのため、日本や中国を初めインドやパプアニューギニアなどでもかなり昔から栽培されたり、人々の生活の中で様々な用途に利用されてきました。
しょうがの歴史
しょうがと人間の関わりの歴史は大変古く、確認できているものは紀元前300~500年ころには塩やコショウなどと一緒に生姜を使った保存食や漢方薬として利用されていた記録がのこっています。日本には2~3世紀ころ中国から伝わってきたといわれています。国内に生姜が入ってきたころには、香辛料や調味料としてはもちろん、蜂蜜や砂糖に漬け込んだ保存食が、高級な食べ物として扱われていたこともあるようです。現在の日本では、関東から西の地域で栽培されることが多く千葉や高知などがしょうがの産地として有名です。
日本や中国、東南アジアではそういった古い時代から生姜が一般的に使われてきましたが、欧米では気候が生姜に適していない地域が多かったため、インドや中国との貿易が行われるようになった14世紀ころからコショウなどのスパイスと一緒に伝わっていきました。欧米ではショウガの成分が注目され、疾病の予防にショウガを使うことが勧められていました。欧米で使われる生姜の多くは乾燥させた乾燥生姜で、日本のように生の生姜はなかなか手に入らないものだったようです。現在では、輸入技術や栽培技術が発達したため、世界中で生の生姜や乾燥生姜など、色々なタイプの生姜を手に入れることができるようになりました。
生姜の名前
日本に伝わったばかりのころは、その独特の味や香り激が、生姜が伝わってくる前から国内にあった「山椒」と同じ刺激のある香辛料としてショウガもサンショも「ハジカミ」という同じ呼び方で呼ばれていました。日本で生姜が「しょうが」と呼ばれるようになったのは、1600年ころ江戸時代に入ってからだといわれています。
また、英語で生姜のことを「ginger(ジンジャー)」といます。フランス語では「gingembre」ギリシャ語では「ziggiberis」スペイン語では「jenjibre」とどれも似たような名前で呼ばれています。これは、生姜がインドや中国から欧米に渡ったときに呼ばれていたアジアの呼び方からきていると考えられます。
欧米では乾燥生姜やジンジャーパウダーなどの生姜製品が多く扱われているのはエスニックの食材店ではないか、といわれることもあります。そういったことからも生姜が、東洋から世界中に広まった野菜であることがわかります。
生姜の特徴
独特の香りと風味を持つ生姜は、昔から身近な野菜として利用されてきました。海外でも生姜の持つ特徴を生かして、食材以外にも様々な方法で使われています。
生姜の使われ方
日本では昔から身近な食材としてしょうがが使われてきました。生姜には独特の風味や香りがあり、肉や魚を使った料理に使うことで臭みを消すことができるのが特徴です。
また、生姜に含まれる成分にはジンゲロンやショウガオールといった殺菌作用の強い物質が含まれています。寿司の薬味として使われる「ガリ」などは、生姜のこういった殺菌成分を有効に利用している代表的な例といえます。お弁当の中に、生姜を使った漬物やで下味をつけた肉料理などが入れられるのは、生姜の殺菌作用やたんぱく質を柔らかくする酵素があり、お弁当に加えるもののレシピにショウガが使われることもよくあります。
また、風邪の予防に生姜をすりおろして加えた飲み物や食べ物がいいといわれますが、これもしょうがの血行促進作用、循環器機能を高めるなどといった効果がしょうがにはあるからではないでしょうか。しょうがを使った加工品には、他にも味噌に漬け込んだものや醤油に漬け込んだもの、「はちみつ」や砂糖に漬けて「しょうが紅茶」や「しょうが湯」などに使われるようなこともあります。
しょうがの根
一般的にスーパーや八百屋で見かける生のしょうがはごつごつとした塊状のものです。柔らかい葉生姜やミョウガなど、葉っぱがついている状態の生姜を見ると、普段見かけることの多いごつごつした部分は生姜の根っこの部分だというイメージがありますよね。
しかし、普段良く目にするあのゴツゴツした部分は実はジャガイモなどと同じ地下茎にあたります。そのため、正確に言うと「根」ではなく、「茎」が主に利用されている部分なのです。この地下茎の下から、細い根が生えるのですが、出荷されるときには根を取った状態になっているため、なかなか生姜の根を目にする機会はありません。
また、ハジカミや葉生姜など、地下茎から地上に出ている葉や花のつく部分は、正確な茎ではなく、偽茎と呼ばれています。