俗に「中国四千年の歴史」と言うように、中国が育んできた多種多様の文化は今も途方も無い知恵と研鑽を積み上げてきた痕跡を感じさせるものがあります。
中国の文化の中でも優れているとされるものは、間違いなく中華料理です。中華料理を代表するスープといえばやはりフカヒレスープです。
とろけるようなゼラチン質で濃厚な味わいのフカヒレと、とろみの付いたスープが絡み合う美味しさが口の中でハーモニーを奏でるのです。そんなフカヒレスープの魅力とレシピに迫ります!
フカヒレスープは、サメの背びれ・尾びれなど天日干しにして乾物に仕立てたフカヒレを水やスープで戻して、とろみを付けたスープで味付けした中華料理です。
基本的にフカヒレスープに使うフカヒレは姿煮にしたものを使い、大きなものほど形を崩さずに戻すのが難しく、料理人の腕前が問われる食材であると言われています。
フカヒレの生産地は日本?
中華料理では高級食材とされているフカヒレの主な生産地とされているのは、実は日本なのです。
江戸時代から「俵物三品」といってナマコやアワビと共にフカヒレは中国との貿易の主力品目を担っていたのです。
マグロ漁などで網に掛かったサメは、フカヒレやカマボコの材料として漁港に持ち込まれているのです。現在では、シンガポールやインドネシアといった太平洋に面した国でのフカヒレ生産が増大していますが、日本産のフカヒレが高級食材とされていることには変わりないようです。
フカヒレの保存性の高さ
フカヒレの原料となるサメの細胞内には、浸透圧の調整を行うための大量の尿素を含んでいることがよく知られています。この尿素は水揚げ後アンモニアに変換されてしまうので、「サメ肉はアンモニア臭い」と敬遠される原因にもなっています。
しかし、サメのアンモニアは身肉の鮮度を保つ働きをするのです。また、乾物に加工した食品は長持ちすることが知られています。
つまり、フカヒレは保存性の高い食材でもあるのです。
フカヒレの持つ栄養分とは
フカヒレはゼラチン質が多く、コラーゲンが沢山含まれている部分でもあります。
コラーゲンは美肌を作る栄養分として注目されており、女性にぴったりの料理であると言えます。
また、フカヒレにはコンドロイチンという軟骨を形成する栄養分が含まれており老化防止や関節痛の緩和に効果を発揮します。
フカヒレ単品の料理が無い理由
カヒレはスープや姿煮など、水で戻してスープの味を含ませた上で食べる調理法がほとんどです。では、戻したフカヒレまたは取れたてのフカヒレを食べさせる料理は無いのでしょうか?
実は、フカヒレ自体にはまったく味は無いのです。サメ肉自体は淡白な味わいで煮込み料理に向いています。なので、フカヒレも煮込んで味を含ませないと美味しくならない食材なのです。
それでは家庭でフカヒレスープを作るためのレシピを紹介していきます。
フカヒレの戻し方
現在の市場には、戻したフカヒレを真空パックしたものが出回っていますが、もしも中華専門店で使われているような乾物のフカヒレが手に入った場合、どのようにして戻せば良いのかという問題があります。
フカヒレは、段階的に2~3日掛けて戻していくのが本格的なやり方です。
しかし、大掛かりになりすぎるので即席に戻す方法が一般的になってきています。
本格的なフカヒレの戻し方
- 大きめの器に水とフカヒレを入れて、臭い消しのショウガやネギを一緒に入れて1時間ほど蒸します。蒸し終わったらヒレの付け根を掃除します。
- 掃除し終わったら再び水とネギとショウガを入れた器にフカヒレを入れて、ラオチュウを振り掛けて二時間ほど蒸します。
- 蒸し終わったら水を取り替えてフカヒレを冷蔵庫で一晩寝かせます。
- 一晩置いたフカヒレは水を再び取り替えてラップを掛けて四時間ほど蒸します。
- 蒸し終わったら自然に冷めるのを待ちます。冷めたら表面の膜と軟骨を取り除いておけばいつでも調理できます。保存する時は、水を張ったパットなどに入れて冷蔵庫に入れれば5日程度持ちます。
簡単なフカヒレの戻し方
もっと簡単にフカヒレを戻すには、沸騰させたお湯が入った鍋にショウガとフカヒレを投じて2~3時間ほど煮込みます。この時スープで煮込めば下味も付きます。
煮込み終わったら火から下ろして自然に冷めるまで置いておきます。
フカヒレスープの材料(4人分)
戻したフカヒレ…200g、鶏がらスープ…1リットル、タケノコ…100g、鶏むね肉…200g、塩…少々、醤油…大さじ1、砂糖…小さじ2、シ酉…大さじ2、水溶き片栗粉…大さじ2
タケノコと鶏むね肉は細切りにして、鶏むね肉には片栗粉をまぶしておきます。
フカヒレスープの作り方
- 鶏がらスープを鍋に入れて、煮立てながらタケノコと鶏むね肉とフカヒレを入れて煮込みます。
- 沸騰したらアクを取り醤油などの調味料で味を整えて煮込みます。
- 全体的に火が通ったら火を弱め、水溶き片栗粉を入れてとろみをつけて出来上がりです。