ブイヤベースは、日本でも人気の高いスープ料理の一つです。
ブイヤベースの本場であるフランスのマルセイユは地中海に面した潮風と温暖な気候に恵まれた街で、新鮮な魚介類が豊富に水揚げされる漁港があることでも知られています。ブイヤベースは水揚げされた魚を美味しく食べるために考案された漁師料理でもあるのです。
そんなブイヤベースの魅力とレシピを紹介していきます!
ブイヤベースは、港町であるマルセイユの漁師が売り物にならないような小さな魚を鍋で煮込んで食べる漁師料理にその起源があります。
気取らない漁師料理であったブイヤベースは西洋料理に欠かせないハーブ類を加えて、具材にする魚を小魚だけでなく、大きな魚を入れるようにと工夫が重ねられていき、立派なフランス料理としてメニューに加えられるようになったのです。
マルセイユっ子の心意気・ブイヤベース憲章
ブイヤベース発祥の地であるマルセイユでは「ブイヤベース憲章」と呼ばれる公認レシピが定められています。
この「ブイヤベース憲章」は昔ながらのブイヤベースの味を守るために定められたもので、多種多様に変化する食文化の中にあっても自分たちの愛する郷土の味を受け継いでいくという、マルセイユっ子の心意気が感じられるものです。
ブイヤベース憲章とは
ブイヤベース憲章は、マルセイユ市が公式に定めたブイヤベースのレシピですがその内容はどのようなものなのでしょうか。
まず、「ブイヤベースの具材にする魚は地中海の岩礁に生息するものに限定し、海老類・貝類・タコ・イカは入れないものとする」とされています。高級店で出されるようなオマール海老やムール貝を入れたブイヤベースは邪道としているのです。
第二には「具材として入れる魚は最低でも四種類以上とする」こととなっています。魚の種類を増やすことで、より複雑な旨味を重ねるようにしているのです。
第三は「出汁を取る小魚は決められた魚を使うこと」です。同じ出汁を取ることで味の変化を最小限に抑えようという意図があるのです。
第四には「ブイヤベースは短時間で仕上げること」とされています。ブイヤベース(bouillabaisse)の語源は「煮込む(bouill)+火を止める(abaisse)」の合成語であるといわれており、まさに「短時間で強火で煮込む」スープ料理なのです。
それでは、本格的なブイヤベースの作り方に入っていきます。
ここではブイヤベース憲章には従わない、ごく一般的なブイヤベースのレシピを紹介していきます。
用意する材料(4人分)
魚のアラ…800g、魚介類(タラやホウボウなどの白身魚に海老やカニや貝を入れてもよい)…1~2kg、ニンニク…2片、じゃがいも…2個、トマト…1個、玉ネギ…2個、サフラン…2g、塩・コショウ…少々、オリーブオイル…大さじ2、パセリ…一茎、フェンネル・タイム・ローリエ・ディルなどの料理用ハーブ
ブイヤベースのベースとなるスープは魚のアラなどで取ります。
野菜類は食べやすい大きさに切り分け、トマトはペースト状にしてニンニクはみじん切りにしておきます。ハーブ類は糸で縛ってブーケガルニにしておきます。
魚は良く洗ってから切り分けておきます。
ブイヤベースの作り方
- 鍋にオリーブオイルを引きニンニクを焦げ付かないように炒めて香りを出します。
- 続けて魚のアラを入れて炒め、水を注ぎブーケガルニを入れて1~2時間ほど煮込んで出汁を取ります。
- 出汁が出たらアラとブーケガルニを引き上げ、刻んだ野菜とトマトペーストと魚介類を投入して煮込みます。
- 火が通ったらサフランと塩・コショウで味を整え、パセリを振って完成です。
必需品!ルイユのレシピ
本場マルセイユでは、ブイヤベースと共に食卓に並べられるルイユというソースがあります。
めいめいに油で揚げてクルトンに仕立てたバゲット(フランスパン)にルイユを塗り、ブイヤベースに浮かべて食べるのが本式のブイヤベースの食べ方なのです。
卵黄…2個、にんにく…2片、オリーブオイル…大さじ3、レモン汁…大さじ1、塩・コショウ…少々
ルイユの作り方
- ボウルなどにすり下ろしたにんにくと卵黄を入れてかき混ぜます。マヨネーズを作る要領で、少しずつオリーブオイルを入れながらかき混ぜていきます。
- 全体的に混ざったらレモン汁と塩・コショウで味付けして出来上がりです。出来たルイユは密閉瓶などで二週間ほど保存できます。
ブイヤベースをアレンジする
ブイヤベースは確かに美味しいのですが、味に飽きてしまう人も少なくないのではないでしょうか?
そこで、ブイヤベースに一工夫を加えるのです。例えば、ブイヤベースの出汁を煮干や鰹節や昆布にすると和風のブイヤベースになります。
ブイヤベースにはグルタミン酸が含まれているトマトが使われていることが多いのですが、よりグルタミン酸を多く含んでいる昆布を使うと魚のイノシン酸と合わさって旨味が増大するのです。