北国であるロシアでは、温かい料理が好まれます。気候風土が他国よりも寒冷であるロシアでは、寒さに負けないための食品が必要なのです。
有名なスープ料理であるボルシチも、寒さをしのぐための工夫が凝らされた料理なのです。そんなボルシチの秘密やルーツ、レシピに迫っていきます!
ボルシチはロシアを代表する料理の一つです。ピロシキやビーフストロガノフに並んで世界中に知れ渡っているロシア料理とされています。
しかし、ボルシチは正確に言えばロシアではなくウクライナの料理なのです。
ロシアとウクライナは隣接していることもあって、文化を共有している国々なのです。ですので、ここではボルシチはロシア料理の一つとして扱います。
ボルシチの特徴
ボルシチは、他のスープ料理に比肩するものが無いほどに赤い色合いをしているのが最大の特徴です。
この赤さは、ボルシチには欠かせない甜菜の一種であるテーブルビート(日本ではビーツ)が持つ色素によって染め上げられているのです。
テーブルビートに含まれている色素のうち、赤色のベタシニアンが酸性に近いスープの中で強く発色することで、ボルシチ独特の赤さを生み出しているのです。
なぜボルシチに甜菜を使うのか
ボルシチの赤みを出すテーブルビートは、砂糖を搾り取ることが出来る甜菜の一種です。
テーブルビートは他の甜菜に比べれば甘みは控えめなのですが、スープが甘くなることには変わりありません。
なぜ、ボルシチはテーブルビートを使うようになったのでしょうか?
ローマから伝わったボルシチ
ボルシチのルーツは古代ローマにあるといわれています。
甘いものは疲労回復に役立つことは経験的に知られていたため、農業と兵士の二束のわらじを履くことが多かった古代ローマの国民にとってボルシチは欠かせないものだったのです。
ボルシチがロシアで愛される料理となったのもこの甘みに理由があるのです。砂糖などの炭水化物はすぐにエネルギーになる栄養素です。寒冷地であるシベリアに跨るロシアやウクライナでは、体温を保つと言う意味では温かく甘みのあるボルシチはうってつけのスープなのです。
ただ甘いだけではないボルシチ
また、ボルシチは甘みがあるだけでなく身体を保つ栄養分も豊富です。
スープのベースとなるのはブイヨンです。ブイヨンの持つ旨味に加え、テーブルビートの食物繊維やニンジンや肉などの具材の栄養分を温かく摂取できるのです。
また、ロシアではスメタナというサワークリームをボルシチに入れることで乳酸菌やカルシウムを効率よく摂ることができる素晴らしい料理なのです。
それでは、ボルシチのレシピの説明に入っていきます。
ボルシチに欠かせないテーブルビートは、最近では八百屋さんなどでも生のものが手に入るようにはなっていますが、手に入らない場合は缶詰にされたビーツでも構いません。
用意する材料(4人分)
牛肉または豚肉…500g、にんにく…2片、玉ネギ…1個、ニンジン…1本、キャベツ…四分の一、トマトピューレ…半カップ、テーブルビートまたはビーツの缶詰…100g、ブイヨン…1リットル、パセリ…少々、サワークリーム…大さじ2杯、塩・コショウ…少々、バター…大さじ2
肉は、牛肉や豚肉のほかにベーコンや肉団子なども使われます。ボルシチは具材のバリエーションが多い料理でもあるので、具材は自由です。
ボルシチの作り方
- まず野菜は乱切りにして、肉も食べやすい大きさに切り分けておきます。にんにくは包丁の腹で潰してからみじん切りします。
- 鍋にバターを溶かしてにんにくを炒めて香りをだし、肉を炒めていきます。
- 肉に火が通ったら野菜とビートを入れて炒めていきます。
- 野菜がしんなりしてきたらトマトピューレとブイヨンを入れて沸騰させていきます。アクが浮いてきたらこまめに取っていきます。
- 全体的に具材が煮えてきたら塩・コショウで味を整えます。
- 適当な所で火を止め、器に盛り付けてパセリのみじん切りを散らしサワークリームを乗せれば完成です。