イルカのエコーロケーション
イルカは、仲間とコミュニケーションを取ったり、餌を捕るために音を使い分けます。イルカの出す音は歌(ソング)などと表現されます。特にイルカ社会でのエコーロケーションは、どのように使われているのか研究も進められています。エコーロケーションとはどのような能力なのでしょうか。
イルカの発声の種類
水中マイクを使うと、イルカのいろいろな声を聴くことができます。イルカの声は時に、人間のおしゃべりのようにも、時に猫の鳴き声のようにも聴こえます。クジラに比べると高い音を出します。シロイルカの声は「海のカナリア」と呼ばれています。
ホイッスル音
ピーピーと笛を吹くような澄んだ音を出します。
バーク音(層状音)
興奮したり威嚇したときの音で、様々な周波数成分が重なり合っています。
クリック音
エコーロケーションの音で、カリカリ、ギリギリという、短い音が連続しています。
エコーロケーションとは
イルカは濁った水中ではものが見えにくくなるため、目が退化しました。その代わり、音は空気中より水中のほうが速く遠くまで伝わるため、聴覚が発達して視覚の役割をしてきました。
エコーロケーション(エコロケーション)とは反響定位ともいいます。クリック音を前方に向けて発し、物体からの反響を聴くことで、対象物の位置や形、大きさなどを知ることができます。
超音波は物を透過する特徴があるので、イルカは好みの餌はもちろん、人間の健康状態までわかってしまうのだそうです。エコーロケーションができる動物は、イルカのほかにもフクロウやコウモリなど暗い場所で生活する動物がいます。
盲目の人が舌で超音波を発し、物体との位置や距離を測定することもテレビで話題になりました。
エコーロケーションのしくみ
使い方
噴気孔内にある発声器官で作った超音波を、メロン器官で1点に集めて対象にぶつけ、反射してきた音を下顎骨でキャッチして、対象までの距離や方向を測定します。餌であるイカや小魚に音波ビームをあてると、衝撃波によって動けなくなります。そこをイルカがぱくりと食べてしまうんですね。
音について
物体の認識には高周波を、方位の測定には低周波を使い分けています。人間に聴こえる音は2万ヘルツまでといわれていますが、エコーロケーションで発せられる超音波は500~20万ヘルツといわれています。ですから、人間には聴こえない音もイルカは超音波で発しているんですね。
エコーロケーションの実験
水族館などでは、しばしばエコーロケーションを使った識別を演示しています。
1.イルカに目隠しをします。
2.イルカのおでこにタッチをして、△の標識を覚えてもらいます。イルカはクリック音で確認します。
3.△と○の標識を選んでもらいます。
4.すると、クリック音を使って△の標識を選び、指示した人の前に持ってきます。
イルカ介在療法(イルカセラピー)
イルカのエコーロケーションの能力は、人間では見えないような傷ついた心も察知します。そのため、イルカは体に障害を持つ人や心に傷を負った人には特に近づきます。イルカは仲間も助けますし、違う種の生き物でも弱っているものを助けます。
1970年代からアメリカで研究され、日本でも注目しています。イルカセラピーはイルカのエコーロケーション能力と、優しい性格からできるセラピーなのかもしれません。
エコーロケーションを妨げるもの
イルカにとってエコーロケーションは、生活をする上で大切なものだということが理解していただけたと思います。けれど、エコーロケーションを妨げるものが存在しています。
船の航行による騒音や地震などがこれにあたります。このことによって、イルカが誤って座礁するのではないか、という見方もあるのです。
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