大きな「いるか」も可愛いのですが、親子のイルカを見るとほのぼのしますね。イルカは授かった生命をどのように生きているのでしょうか。イルカの社会がどのようになっているのか、赤ちゃんイルカが大きくなり、自分も世代を継ぐ赤ちゃんを残すまで。
生まれたばかりの赤ちゃんイルカは、どのようにイルカの社会になじんでいくのでしょうか。
出産
イルカは約10ヶ月の妊娠期間を経て出産します。赤ちゃんはお母さんイルカの3分の1~2分の1の大きさなので、大きな状態で生まれてくるんですね。
けれど、赤ちゃんイルカの体はやわらかいですし、大人のイルカも骨盤がないので、スムーズに出産できます。イルカの赤ちゃんは、ちっ息しないように尾ビレから生まれてきます。
赤ちゃんの生活
生まれたばかりの赤ちゃんイルカはすぐにお母さんと一緒に泳ぎ、1年~1年半の間は母乳で育ちます。ミルクは吸う力はないようで、海水と混ざらないように赤ちゃんが舌で絡めて飲みます。
泳ぐとき、最初はお母さんに持ち上げられて呼吸を助けてもらうこともあります。4~6歳になると大人とみなされます。メスのイルカは2~3年に1回、1頭の赤ちゃんを産み、一生のうちで、多いものでは20頭も産む計算になります。
子育て
赤ちゃんが小さなうちは、お母さんイルカのいるメスの集団に混ざって行動します。メスの集団は家族であり、子育てを助ける保母さんのような役割をしています。
まだ赤ちゃんを産んだことがないメスのイルカにとっては、子育ての練習になります。やがて大きくなったイルカのオスはメスの集団を離れて、オス同士で行動するようになります。
イルカの集団といっても、形態は様々なようです。餌を採るためだったり移動のためだったり、グループとしてまとまっている期間も数も異なります。
群れをつくる理由
イルカやクジラの多くは、群れをつくって行動します。構成は種類によって異なり、違う種類のイルカやクジラが一緒に泳ぐこともあります。飼育下でも野生でも交雑種の存在が関係しているようです。
イルカ同士の交流
イルカ同士のコミュニケーションは音を使い分けて交流します。また、イルカはスキンシップも好きで、よく体をこすり合わせています。
繁殖の練習も見られます。イルカにはボスがいません。イルカを飼育するときも主従関係ではなく、友達のようなスタンスをとります。
繁殖
春~夏になると、繁殖期を迎えます。イルカのカップリングは、1頭のメスをオスが守ろうとするタイプと、なるべくたくさんのメスを交わろうとするタイプに分かれます。けれど基本はオスもメスも複数の相手と交わります。
イルカは人間のようにおなかを壊したり、風邪をひいて咳をしたり熱を出すこともあります。しかも、飼育されているイルカの場合は、仮病を使うこともあるのだそうです。
熱を測るときは肛門で測るのですが、中には嫌がるイルカもいます。薬を飲ませるときは、餌になる魚に詰めて食べさせます。病気を早く発見することも大切ですが、治療をするためにイルカが協力してくれるような訓練も必要なんですね。
野生のイルカの場合と飼育されているイルカでは、大きくなるまで生きている確率が異なります。けれど、野生でも飼育でも人間が関わるということは、安全な場所はないのかもしれません。
通常の場合
40~50年、長いものでは70年というイルカもいます。ただし、野生の生物は長く生きる場合と短く終える場合との差が激しく、最長年齢が50歳や70歳でも、平均はハンドウイルカの場合7.5歳でしかありません。
人の手による場合
一方、不自然に一生を終わらせることもあります。それは、人間が捨てたゴミを飲み込んだり、網に絡まったりする場合です。ほかにも漁や環境汚染も挙げられます。人の手による場合も多いのです。