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忍者文字と用語

現代で言うスパイである忍者は、情報を伝達するための連絡手段の重要性を強く認識していました。情報を確実に伝達するための技術、同門の忍者以外には解読できない暗号技術、仲間を見分けるための合言葉や符牒と言った連絡手段に関連する技術を忍者たちは練り上げてきたのです。

忍者と言葉の関係

情報を扱う忍者にとって、もっとも恐れるべき事は「情報の価値の下落」でした。追っ手に捕まることは最初から織り込み済みですが、困難を乗り越えて手に入れた重大な情報が自分の不手際で漏れてしまい、主人の元に持ち帰る前に多くの人々に知れ渡ってしまったら何の意味もなくなるからです。

忍者による暗号技術

そこで登場するのが暗号です。暗号の目的は「第三者に漏れても把握できない形に情報を変換する」ことです。暗号技術自体は古代ローマや古代ギリシャの頃から使用されているもので、解読方法を共有している人間にしか通用しないという特性を利用することで重大な情報を安全に連絡しあうことが出来るのです。基本的に、暗号は文字の配列をずらすなどして置き換えていくことで、一見するとデタラメな字列にするものです。忍者の場合、文字に見えないものを文字として使うことでより破られにくい暗号に昇華したのです。

忍者暗号と忍者文字

中でも、有名なのが「忍者いろは」と呼ばれる忍者文字です。忍者文字は、中国から漢字が伝わってくる以前に日本で使用されていたとされる「神代文字」と関係があるとも言われています。しかし、神代文字自体には後世の捏造とされているものもあるため話半分で考えておいたほうが良いでしょう。忍者文字は、五十音に対応した記号で構成されていて一見すると子供の落書きのような印象を受けます。そのため、忍者文字の知識や暗号解読法を知っている第三者でなければ情報の内容が把握できないのです。

忍者暗号「結い縄」「五色米」

また、忍者は忍者文字以外にも暗号を持っています。それが「結い縄」と「五色米」です。結い縄は、縄を特定の形に結んだものを暗号として扱うと言うもので漢字伝来以前に使用されていた文字であるとも言われています。五色米は着色した米を使う忍具の一つで、巻き方で「この先に敵が居る」「合図があるまで待機せよ」と言った任務のために有益な情報を伝達できるものです。結い縄は既に文字としての意味を喪失していたため暗号として扱われるようになったのですが、暗号の重要性を認識していた忍者ならではの使用法であるともいえます。

火薬技術を応用した狼煙

狼煙は、古代から使用されてきた連絡手段の一つです。山で狼煙を起こせば、遠くの相手に伝えることが出来るので狼煙をリレーして長距離通信を行うこともできます。忍者が使用した狼煙は更に巧妙なもので、忍者が得意とする火薬技術や薬品知識を応用することで灰色以外の色をつけた狼煙を上げることが出来たといわれています。また、忍者の狼煙は場合によっては投擲弾として使用することが出来るようになっていて、状況に応じた使用法が出来る優れものだったと言われています。

忍者用語・忍者から生まれた言葉

闇に忍ぶ忍者にとって、自分の仲間を見分けるための手段は重要なものでした。その中で発達したのが忍者同士でしか通じない言葉や符牒です。

忍者用語とは

忍者用語は、忍者同士の間でしか使用されない専門用語や忍者から生まれた言葉です。現代においても使用されている言葉としては、忍者を現わす「素破」から転じた「すっぱ抜く」などがあります。忍者同士で使う言葉は、紛れ込んだ敵を炙り出す効果を持っています。その里でしか使われていない言葉や、同門の人間の間でしか通用しない言葉は一種の暗号として作用します。「世代が違えば言葉も違う」と言われるように、言葉の使い方は親近感と疎外感を同時に生み出すのです。

有名な忍者用語紹介

現在でも残され、広く使われている忍者用語を紹介しましょう。

くノ一

一般に「くノ一」は、女性忍者を指す言葉と考えられていますが現実には女性を使って相手を篭絡する忍術の名前であったといわれています。「くノ一」の語源は「女」の字を分解したものであるとも、人間には鼻・目・耳・口など九つの穴があるが女性は一つ多いから「9+1」で「くノ一」とも言われています。

どんでん返し

演劇用語で、「がんどう返し」とも呼ばれる舞台装置や物語の結末で急転直下するものを「どんでん返し」と言いますが、これも一種の忍者用語です。忍者の里の中で、もっとも狙われやすかったのが長老の家です。秘伝を記した書類や道具などが収納されていたことと、トップを抑えることで里全体を掌握できるからです。その為、忍者の屋敷には様々な仕掛けが用意されていました。どんでん返しもその一つで、特定の操作を行うことで壁が回転ドアのようになり、壁の裏側にある隠し部屋に逃げ込むことが出来るというものです。

忍者集団の名

「すっぱ抜く」の語源となったのは、「忍者」と言う名称が使われる以前に存在していた忍者の呼び方の一つである「素破」から来ています。「素破」以外にも、「乱破(らっぱ)」「透破(すっぱ・とっぱ)」などがあります。また戦国武将に仕えていた忍者集団にはそれぞれの名称が存在していました。例えば、武田信玄は少女を集めて訓練させた「歩き巫女」と呼ばれる女性諜報員や「三ツ者」という忍者組織を持っていました。信玄のライバルである上杉謙信も「軒猿」と呼ばれる忍者相手の戦いに長けた忍者部隊を抱えていたといわれています。加賀百万石を治めた前田利家も四井主馬率いる「偸組(ぬすみぐみ)」と呼ばれる忍者集団を有しています。「独眼竜」との異名をとった伊達政宗も、「黒脛巾(くろはばき)」と呼ばれる忍者集団を持っていました。戦国大名たちにとって、忍者の情報収集能力は必要不可欠なものだったのです。

山・川の符牒

符牒は、仲間を見分けるために有効に働く合言葉です。有名な山・川の合言葉も、元を正せば忍者が使っていた符牒の一つといわれています。ほかにも「谷」に対して「水」などがあります。

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