大沼湖の湖畔周辺の遊歩道を周っていると、静かに佇んでいる小さな鳥居があります。大変見つけ辛いのですが、そこが駒ヶ岳神社です。私たちも一度見過ごして通り過ぎてしまい、この神社を見ないまま大沼を一周してしまいました。
もう一度目を凝らして神社を探し、見えてきたのは白の布に黒で神社の名前が記された旗でした。ようやく見つけたと喜びながら足を踏み入れ、上を見上げました。とても高い木々が私たちを見下ろしていたからです。それらは天然の塀のようで、ここが自然に囲まれていることを私たちに教えてくれました。そしてふと目に入ったのが、赤に色付き始めている葉が木から下がっていたところです。秋に見るこの神社もまた綺麗だろうな、と思いました。
木で出来た鳥居をくぐり、砂利を踏みしめて歩いていると、その足音がとても響いていることに気づきました。というのも、それ以外の目立つ音がしないからです。しかしよく耳を澄ましてみると、緑に生い茂っている葉が風に揺られて音を鳴らし、蝉も自分の声を主張しているのが聞こえます。これは人が多く集まる場所ではあり得ないことでしょう。この静けさは私たちに都会の喧騒を忘れさせてくれます。
そして音がしないからでしょうか、この神社はとても不思議な感じがしました。神秘的とも言うのでしょう。少し湿った空気を感じながら、私たちはさらに奥へと進みました。
すると、二つ目の鳥居のそばに祠がありました。とても小ぢんまりとして控えめな祠ですが、それがまた神秘的な雰囲気を強くしているように感じました。
その鳥居の左側に、遊歩道がありました。草が生い茂っていて少々歩きにくいのですが、板に足を乗せて歩いてみました。板が軽く軋む音が鳴る下を見ると、湧き水が流れていることに気づきます。
落ちないように慎重に歩き続けると、道が二つに分かれていました。そこで右へ行ってみると、私たちが目的としていた大岩で出来た洞窟が見えました。これは駒ヶ岳噴火のときの溶岩噴出によって落ちてきた岩、および溶結凝灰岩で出来ているそうです。この巨岩「大岩」で出来た洞窟を抜けると難関突破の意味合いを持つらしく、登山の安全や、安産祈願、家内安全などを願う人の祈願対象とされています。しかし、ちょっと怖かったので私たちは通りませんでした。
そして私たちは神社を後にしようとしたのですが、ここで重大なことに気づきます。カメラマンの足に蚊が止まっていたのです。彼女は七分丈のものを履いていたので、素肌をさらけ出していました。そこへすかさず奴らは血を吸いに彼女を襲っていたのです。気づいた私は手に持っていたメモ帳で、急いで撃退しましたが、時既に遅く、彼女は左腕二箇所、右腕一箇所、左足三箇所、右足一箇所の計七箇所も刺されていたのです。たった十分間の出来事でした。私は一応素肌を隠し、虫除けスプレーもしていたので全くの無傷だったのですが、皆さんも訪れるときは虫対策をしっかりして下さいね。
名前 | 駒ヶ岳神社 |
住所 | 七飯町大沼湖畔 |
駐車場 | なし |