冬の時期、友達が大勢集まると自然に雪合戦が始まったものです。仲の良いもの同士でチームを組んで雪玉を投げあったり、総当り形式でてんでばらばらに雪玉を投げあったり、雪玉ではなく雪の塊を持ち上げたり、投げようとした雪の塊に顔を突っ込まされたりと、雪合戦ならではの光景が公園や学校のグラウンドなどで向けられます。そんな子供たちの雪遊びだった雪合戦も、いまや国際的なスポーツになっています。スポーツとしての雪合戦を詳しく紹介していきます!
雪合戦はその名の通り、雪を使った合戦ごっこです。基本的にルールは少なく「疲れるまで遊ぶ」か「ギブアップするまで遊ぶ」こと、「石は詰めない」などが暗黙のルールとなっています。また、軒先にぶら下がるツララでのチャンバラごっこや柔らかい雪の塊を使うことも雪合戦では時々あることです。雪合戦という遊び自体は、雪の降る地域であればどこでも行えるものなので、日本のみならず外国でも行われていた記録が残っています。
基本的に、子供たちのする雪合戦は「ケガしなければなんでもあり」という、非常に創造性に溢れた遊びです。子供は雪合戦などの集団での遊びから、ルールの必要性や重要性を学び、生活に反映させていくことを理解するのです。雪合戦の面白さは、「友達とチームを組んで遊ぶ」ことと、「攻撃手段を考える」ことにあります。合戦そのものを楽しむのではなく、友達と遊ぶことそのものを楽しむのが雪合戦なのです。
雪合戦がスポーツとしてリメイクされたのは、1987年の北海道壮瞥町においてのことです。洞爺湖温泉や昭和新山という観光名所を持つ壮瞥町には、冬の観光資源と呼べるものが少なかったことから、町おこしの意味で「雪合戦のスポーツ化」が発案されました。翌1988年には公式ルールが制定され、試合用のヘルメットやシューズに、雪玉製造機などの公式用具の開発が行われました。そして1989年2月から「昭和新山国際雪合戦」が開催され、スポーツとしての「雪合戦」を世界に発信していったのでした。
「遊びとしての雪合戦」は自由なルールの下で行われていますが、「スポーツとしての雪合戦」は定められたルールの下で行われ、選手は体力と知力を尽くしてチームの勝利へ貢献するものとなっています。スポーツとしての雪合戦は、いまや日本国内だけでなくフィンランドやノルウェーなどの海外でも盛んに行われています。
1988年に定められた雪合戦の国際ルールは、幾度かの改正を受けつつも現在も運用されています。
国際ルールでは、雪合戦の試合は縦10m横40mのフィールド内で行われます。センターラインで分けられたフィールドには「シャトー」と呼ばれるチームの基地と「シェルター」と呼ばれる二種類の防護壁が計7箇所用意されています。シャトーには試合中に使用する雪玉を貯蔵する役割があります。
公式の雪合戦では、勝敗は「相手シャトーの前に置かれたチームフラッグの奪取」「相手チーム全員をアウトにする」ことで決定します。このため雪合戦のゲーム進行は、相手選手が残っていても一発で決着するフラッグ狙いか、相手の戦力を削るアウト狙いの二種類の戦略を元に行われます。また、時間切れの際にはアウトになっていない選手が多い方を勝利とします。
雪合戦に参加するチームは選手7人・補欠2人・監督1人の編成になっています。選手は全員雪合戦専用のヘルメットとシューズ、そしてチームを区別するゼッケンの着用を義務付けられています。選手はフォワード4名・バックス3名に分けられフォワードのみがセンターライン向こうの相手チームの陣地への突入が認められています。しかし、相手チーム陣地に入れるフォワードは3名までとなっていて、4人目が相手チーム陣地に入った時点で相手チームにセットが与えられます。
試合は三分3セットで行われ2セット先取したチームが勝利になります。1セット中に使用できる雪玉は1チームに付き90個となっており、試合前に専用の雪玉製造機で作ったものだけが使用できます。雪玉はそれぞれのチームのシャトーの裏に貯蔵され、選手は手持ちの雪玉を使い切ったらシャトーに戻るか味方から渡してもらうかして補給しなければなりません。また、試合スタート時に選手が持てる雪玉の数は2個までとなっています。
公式ルールでは、次のような行為を行った選手はアウトとされます。
◎ライン外への移動
横のサイドライン・陣地後方のエンドラインで区切られた雪合戦のフィールド外に出た選手は自動的にアウトになります。
◎不正雪玉の扱い
シャトー裏に貯蔵されている雪玉を使用せずに、フィールド上の積雪で雪玉を作った選手は作った時点でアウトになります。また、スタート時や雪玉補給時などに雪玉をウェアなどに隠し持った選手もアウトになります。また、アウトになった選手から雪玉を受け取った選手もアウトになります。