冬にしか味わえないものの一つに、雪山登山があります。雪山登山は冬の苛酷な寒さや雪崩などの冬独特のアクシデントに、人間の知恵と体力の限りを尽くして挑むスポーツを超えた冒険なのです。そんな雪山登山に挑む人々が身に付ける装備や技術、雪山登山を手段とする究極のスポーツ、除雪された雪を使った雪山遊びについて解説していきます!
雪山登山は、古くから行われてきた一種のスポーツです。雪山登山には、レオナルド・ダ・ヴィンチやナポレオン・ボナパルトと言った歴史上の偉人も行った記録が残されていて、他国への往来や研究などの手段として行われてきたことを物語っています。本来であれば夏山以上に苛酷な状況となっている雪山を避けるものですが、登山家たちはあえて雪山に挑戦することで自分の磨き上げた技術や精神力を試しているのです。
かつて、イギリスの登山家のジョージ・マロリーは「なぜ山に登るのか」と問われた際に「そこに山があるからだ」と答えたといいます。つまり、登山とは登山家にとっては「自分の生きる場所へ向かうこと」なのです。夏の登山は、冬に比べて危険性が低いものの困難を伴います。雪山に至っては、雪崩や吹雪といった夏の山にはない危険が待ち受けています。登山とは、これらの危険を知恵と経験、体力や精神力や技術を総動員して乗り切るいわば「人間の限界に挑戦する」スポーツなのです。
苛酷な雪山登山において、登山家の生命を支えるのはまず技術です。前人未到のルートを登らなければならない場合、優れた技術無しでは一歩も先に進むことは不可能だからです。必要とされる技術の一つに「アルパイン・クライミング」があります。これは、ロッククライミングやフリークライミングなどの登攀技術を更に登山向けに練り直したもので、「険しい巨岩や崖を登攀すること」が目的ではなく「山の頂上に立つためのルートを登攀する」ことを目的としているのです。このアルパイン・クライミングを習得していなければ、険しい山を登ることは出来ないと言われています。
また、雪山登山を行う上で肝心になってくるのが「登るための手法」です。エベレストなどの難関に挑戦するためには、登山家の技量のみならずバックアップ体制も充実していなければならないのです。登山手法には、挑戦する山に酸素ボンベや食糧といった必需品と設営機材を、人手を使って大量に送り込む「極地法」と必要最小限の装備に抑えて登山家の能力で登頂を目指す「アルパイン・スタイル」の二種類があります。極地法は高山における泣き所である酸素不足などを補えるのですが、登頂後に大量のゴミが出てしまうという欠点があります。アルパイン・スタイルは体力と技量の限りを尽くして行われる短期速攻型登法なので極地法ほどゴミは出ないのですが、登山家の技量が大きく成功に関わってくるのです。
また、険しい雪山を登ることそのものが目的ではなく手段とするスポーツもあります。それがエクストリームスポーツです。エクストリームスポーツは「究極のスポーツ」という意味を持ち、Xスポーツと略されます。エクストリームスポーツにおいては、スキーやスノボーで崖や急斜面などの険しい地形での滑降や、パラシュートを使用するフリージャンピングの選手が雪山登山を敢行しています。
しかし、雪山への登山には危険が伴うだけではなくコストが掛かりすぎるため子供がおいそれと始められるものではありません。なので、もっと身近で簡単な雪山を紹介していきます。
一部の小学校では学校行事として「雪山作り」を行っているところがあります。積もった雪を集めて、校舎ほどの高さの雪山を作りソリ滑りなどに活用するのです。この人工雪山は安全性が高く、上り下りのための階段や滑り降りるためのスロープを作ることで遊び方を広げることが出来ます。また、人工雪山の中にはかまくらと滑り台を複合したものもあり、子供の雪遊びの幅を広げる役割を果たしています。
では、人工雪山を作るための方法を紹介していきます。
まず、人工雪山を作る場合に必要なのが「スペース」です。人工雪山の場合、大きいものでは3メートル以上の高さになるので、どうしても車が2~3台停められるようなスペースが必要になります。人工雪山でソリ滑りをするとなると、更にスペースが必要になります。なので、スペース確保が人工雪山の最大の難関となります。第二には「大量の雪」が必要になります。降雪量の多い地域ならば、除雪された雪などを集めてくるだけで問題ないのですが、降雪量の少ない地域では作ることそのものが困難になってしまうのです。
それでは、人工雪山の作り方を紹介していきます。集めた雪を一箇所に集めてスコップなどで押し固めていきます。一遍に雪を集めて山にしても崩れやすくなるので、慎重に固めながら進めていきます。雪を集めて押し固めることを繰り返し、高さを作っていきます。ある程度の高さになってきたら階段とスロープを作ります。階段はなくても構いませんがあるとないとでは登りやすさが違います。金属製のスコップで雪山を浅く削って段差を作っていきます。スロープはスコップの背で叩き均していきます。スロープは角度が余り急にならないように、雪を足しながら調整していきましょう。頂上まで階段とスロープを作ったら、頂上を平らに均して出来上がりです。
人工雪山の遊び方は、基本的にはソリ滑りですがそりを使わずそのまま滑り降りることも出来ます。また、階段とスロープの側面に穴を掘ってかまくらや抜け穴を作ることも出来ますが、人工雪山が全体的に固まっていないと危険です。また、掘る場合はなるべく中心に来るように掘らないとバランスが悪くなってしまうので注意しましょう。