世界を恐怖の渦に巻き込んだ鳥インフルエンザ。ブロイラーの普及から「鶏肉大国」となった日本、鶏肉や卵の需要も高いだけに他人事ではありませんよね?
しかし、鳥インフルエンザという名前は知っていても、どのような病気かと問われるとわからないもの。そこで、今回は私たちの食卓をも脅かす「鳥インフルエンザ」の謎に迫ってみましょう。
鳥インフルエンザってなに?
医学の向上によって、さまざまな病気を克服してきた人類。しかし、どうしても超えられない壁が・・・それは感染症です。中でも、家禽類をはじめ人や家畜(豚など)に感染するインフルエンザは要注意。
「鳥インフルエンザ」もその1つで、鳥がインフルエンザウィルスに感染することで発症します。軽い症状に留まる「低病原性鳥インフルエンザ」と、頻度は少ないものの、発症によって重症化(呼吸器や消化器症状の発症、命を落とすなど)する「高病原性鳥インフルエンザ」の2つがあり、近年は後者を指すことが多いようです。
鳥インフルエンザの発症
近年、欧米諸国を中心にアメリカやカナダ、アジア地域など広範囲で鳥インフルエンザの発症が報告されています。
1983年にアメリカで発生した鳥インフルエンザをかわきりに、1999年にはイタリア(1300万羽と大量の鶏、七面鳥、アヒルなどが命を落とした)、2003~2004年にかけてはアジア地域(韓国、ベトナム、タイ、カンボジア、中国など)で発生、また2004年2月には京都の養鶏場で鶏の大量しが発生し日本でも大問題となりました。
鳥インフルエンザの感染
家禽類(鶏、七面鳥、アヒルなど)を中心に感染するとされてきた鳥インフルエンザも、近年では家畜や人への感染も確認されています。
ここでは、それぞれがどのような状況で鳥インフルエンザに感染するのか・・・そんな感染経路について調べてみました。
感染経路【鳥】
汚染された排泄物や分泌物、粉塵、土壌などをさまざまな形で摂取し、鳥同士が感染すると考えられています。また、感染した鳥の移動やウィルスの付着(小動物の身体、農具、飼料、履物など)によって運ばれた鳥インフルエンザから、感染の拡大がみられるケースもあります。
感染経路【人】
海外では鳥から人への感染例が報告されているものの、国内においては見受けられません。発病した鳥やそれらの排泄物に直接接触することが感染経路の1つとされていますが、確かではありません。鳥インフルエンザの発生国へ行く際は、鳥との接触をさけるようにしましょう。
鳥インフルエンザの予防法
全世界の専門家によってワクチンの研究がなされる中、鳥インフルエンザに有効とされるワクチンは未だに開発されていません。また、インフルエンザ(A香港型、Aソ連型、B型)に対するワクチンも、鳥インフルエンザには効果ゼロ。
鳥インフルエンザから身を守るためには、病気(鳥インフルエンザ含む)と思われる鳥とは接触しない、鳥インフルエンザが流行している地域には出掛けない・・・といった基本的な予防対策が必要です。
鳥インフルエンザと鶏肉(卵)の関係
鶏肉や卵を食べた人が鳥インフルエンザに感染した・・・という事例は今までに報告されていません。「高病原性鳥インフルエンザ」を法定伝染病とする日本では、鳥インフルエンザの発生によってさまざまな処分(焼却処分など)が行われます。よって、鶏肉や卵といった形で市場に出回る可能性が低いうえ、万が一食べた場合でも人の腸管には鳥インフルエンザの受け皿(レセプター)がないため感染しないと考えられています。
また、ウィルスは適切な加熱処理によって滅びることから、食品の中心温度が70度に達するよう加熱することを推奨しています。十分な加熱処理をして、鳥インフルエンザだけでなく食中毒予防にも努めましょう。