太陽系の中で、環(わ)を持つ惑星(わくせい)として有名なのが土星です。その美しさから、「太陽系の宝石」ともよばれています。大昔の地球に似ているということで、現在もカッシーニ探査機(たんさき)が、土星本体や環(輪)、衛星(えいせい)についてなど調べています。地球の生命誕生のヒントが、土星にかくされているかもしれません。
土星は木星型惑星と呼ばれる、ガスの惑星です。太陽系では木星の次に大きい惑星で、地球の9倍もあります。
太陽を1mの球だとすると、土星は野球のボール くらいの大きさになります。質量は地球の95倍もあるのに、中はスカスカで水よりも軽いので、プールがあったらぷかぷか浮いてしまいます。実際には上の大気がとても薄く、中心部は岩石や水の核でできています。
土星の大気は水素96%、ヘリウム3%、メタン0.0045%、アンモニア0.0001%となっています。木星に似ている成分です。
地球に生命がたんじょうする前の成分にも似ています。太陽から遠い位置にあるので、太陽から受け取る熱は地球の 1/100ととても少なく、とても寒い惑星です。
昔、ガリレオ・ガリレイが、性能のよくない望遠鏡(ぼうえんきょう)を使って土星を見たところ、土星の環がよくわかりませんでした。そのため、さいしょは、土星は「3つの星が集まってくっついている」「耳がある」と考えられていました。土星の白い環は、小さな氷のかけらのようなものでできています。
よく見ると環には、Dリング、Cリング、Bリング、Aリング・・・と8つに分かれていて、さらに細かい線がいっぱい見えます。これが氷のつぶで、リングによってつぶの大きさが違います。わずかに岩がふくまれていますが、土星がたんじょうしたときに、土星に近づきすぎてこわれてしまった衛星のかけらではないかと考えられています。土星の環(輪)は幅25万kmもあるのにうすく、内側にいくほどにうすくできてきます。Aリングで10~30mといわれています。環と環の間は「エンケのすきま」「カッシーニのすきま」といったように、発見した人の名前がついています。
土星をよく見ると、まんまるではなく、少しつぶれて見えるのがわかります。土星の自転がとても早いのと大気などの性質に関係があるようです。また、自転軸がかたむいているため、わたしたちは、いろいろな角度の土星を見ることになります。そのため、見るたびに土星の環が広く見えたり、細く見えたり、見えないこともあるんですね。
土星は地球の外側をまわる外惑星(がいわくせい)で、0等星くらいの明るさです。1年と12日(377日)に1回のチャンスで見ることができ、都会でも肉 眼で見ることができます。
にぶく黄色く輝いているのが土星です。一度どの方角に見える、ということを確認(かくにん)しておくと、土星は大きく動くことがないので、わりとかんたんに見つけることができます。家で天体望遠鏡を使って土星を見るなら、40倍もあれば、土星をきれいに見ることができます。土星のしまもようや、環と環の間もはっきりと見ることができますよ。
土星は英語で「サターン」と言います。ローマ神話では農耕の神さまです。土星が太陽から遠いため、年をとった神さまの名前がつけられました。英語の「サタディ(土曜日)」もサターンがもとになっています。
ギリシャ神話では時の神さま、クロノスのことをいい、ウラヌスとガイアの子供です。ポセイドンやハデ ス、ゼウス、デメテル、ヘラ、ヘスティアなどの子供がいます。
1980年にボイジャー1号、1981年にボイジャー2号が土星を観測(かんそく)しました。2004年にはアメリカで開発され、1997年に打ち上げたカッシーニ探査機が土星にとうちゃくしました。このときに土星の8本目の環を見つけました。また、土星の環の中で酸素が急にふえる現象(げんしょう)も観測しました。
土星の環は、ずっと先のしょうらい、なくなってしまうのではないか、と考える学者もいます。この観察は2008年6月末まで続き、土星を76回もまわり、7つの衛星に52回せっきんします。カッシーニからぶんりしたホイヘンスは、土星の衛星タイタンで、大気や温度などを調べています。