木星(ジュピター)といえば、音楽家ホルストの曲を思い出します。その曲をもとに作った歌を、ある女性歌手が歌って、大ヒットしました。
さて、本物の惑星(わくせい)のほうの木星は、太陽系(たいようけい)の内側(うちがわ)から5番目の惑星です。ほかの惑星と比べて、一番大きな木星の正体を明かしていきましょう。
太陽系の惑星の中で、一番大きなのが木星です。木星は地球(ちきゅう)とは全然(ぜんぜん)ちがうタイプの惑星なんですよ。
地球は岩石や金属(きんぞく)でできていますが、木星は太陽と同じ水素(すいそ) とヘリウムのガスでできています。なので、大きいわりには軽いのです。
もしも、木星が今の100倍くらい大きければ、内部で反応(はんのう)がおこり、太陽のようになっていたかもしれません。
もう一つ、木星の大きなとくちょうと言えるのが、大赤斑(だいせきはん)です。これは科学の教科書などにのっている木星の写真をよく見ると、木星の表面(ひょうめん)に、大きな赤いうずがありますよね?
大赤斑とは、このことを言います。この大赤斑は約(やく)10時間という木星の自転(じてん)スピードのはやさと大気(たいき)や雲が、はげしく動いているためにできるものと考えられています。うずまきは一度もきえたことがないんですって。ふしぎですね。
木星は、6月中旬から8月下旬にかけて、夜、日が落ちてから南西の方角(ほうがく)に見えます。てんびん座の中に光っていることが多いです。冬は、おうし座からふたご座に位置(いち)しています。
もちろん、天気によっても見え方は、かわってきます。また、前もって観測場所(かんそくばしょ)や方角を確認(かくにん)しておくことも大切ですよ。
木星は英語(えいご)でジュピターと言います。ジュピターは神の王様ゼウスで、天空(てんくう)の神さまのことをさします。また、ジュピターという名前には、明るくかがやく空という意味(いみ)があります。さらに、ギリシャ神話ではゼウスは太陽の父とされています。これは、木星が太陽になりそこねた惑星ということに由来(ゆらい)しているのでしょうか?
ここで、ゼウスの話をしたいと思います。ゼウスはクロノスとレアの息子(むすこ)です。姉(あね) のヘラとけっこんしましたが、エウロパにはオス牛、レダには白鳥、レトにはウズラ、ダナエには黄金(おうごん)の雨、アルクメネには夫(おっと)など、いろんな姿(すがた)に変身して、多くのほかの女性にもプロポーズしていました。
きちんと木星に到着(とうちゃく)して、くわしい観測(かんそく)がおこなわれたのは、探査機「ガリレオ」によってです。これは、1979年のボイジャー探査機につづき、2度目になります。
1989年に木星にむけて、はなたれた「ガリレオ」は、1995年に到着(とうちゃく)しました。探査機「ガリレオ」は、木星の構造(こうぞう)と成り立ちの調査だけじゃなく、木星のまわりの衛星(えいせい)のことも調べられたんですよ。
2011年8月、アメリカのNASAは、木星探査機(たんさき)「ジュノー」を打ち上げました。大きな太陽電池(たいようでんち)パネルを3枚持った人工衛星(じんこうえいせい)で、木星の大気(たいき)の構造(こうぞう)をしらべたり、木星の重力が、まわりの天体にどのくらいの影響(えいきょう)を与えたりするのかをしらべます。
上でおはなししたように、木星はぶあついガスでおおわれていますから、大きさのわりに軽い天体だということは分かっていましたが、このガスが安定して木星にとどまっている理由など、今までわからなかったことをさらにくわしく調べるのがしごとです。
ジュノーは、地球の周りを1周して、木星へたどりつくための運動エネルギーを得たあと、長い時間をへて、2016年7月に、木星をまわる軌道(きどう)に入ることができました。
現在ジュノーは、観測機器(かんそくきき)をつかって、木星の調査(ちょうさ)や、木星の周りをまわる衛星(えいせい)についても、引きつづき調査をつづけています。(2017年2月現在)
2009年、木星に、小天体(しょうてんたい)が衝突(しょうとつ)したとのニュースが流れました。これは、アマチュア天文家たちがつぎつぎに、木星の大気に、大きな衝突痕(しょうとつこん)を見つけたと発表したからなのです。
この、ぶつかった小天体の正体は、「シューメーカー・レヴィ第9彗星(だい9すいせい)」ということでした。小天体(しょうてんたい)とは言っても、木星にぶつかったあとに出来上がった雲の大きさは、地球の直径(ちょっけい)とほぼ同じくらいの大きさだったとも言われています。
木星はたいへん大きな天体ですから、地面にクレーターが出来るくらいのダメージですんだでしょうが、もしも同じサイズの小天体が地球にぶつかったとすれば、地球はとっくにこわれてなくなっていたかもしれないですね。