自分が子供の習い事と言ったらそろばんでした。その他にも習い事をしていましたが、長く続いたのはやはりそろばんでした。
そろばんには口では言い表せない魅力があります。集中力もつきますし、計算にも強くなります。これはそろばん塾に通わせる親の期待もあるでしょう。実際の魅力とはどんなところなのでしょうか。
人それぞれ違うのでしょうが、通い始めの頃は、そろばんという物を使って、計算できてしまうことへの喜びが大きかったように思います。一生懸命計算をして、答えが合っていたときの喜びが、なによりの魅力なのではないでしょうか。
数字が書いてあるわけでもないのに、小数点の計算ができたとき、そろばんってすごいな!と思いました。一つできるとその上を、それができると更に上を目指し、とんでもなく多い桁の計算をものすごいスピードでそろばんをはじき、答えが合っていたときの喜びは、今でもとても覚えています。
こう思えることが、そろばん上達への道ともいえるでしょう。自分も最初は親が通わせていたそろばん塾でしたが、とても楽しくて、高校生になってもまだ塾に通っていたほどです。
私がそろばんと出会うきっかけは、従兄弟が通うので、どうせだったら一緒に……というものでした。親にしてみれば、集中力、計算力がつくというもくろみもあったようです。
最初に行ったのは全国珠算教育連盟の塾で、通うにもとても遠く、たった2回行っただけで退塾してしまったのです。自分にとって、それほどそろばんは魅力的なものではありませんでした。
近所に日本珠算連盟のそろばん塾があるのを知った母は、その塾に転塾させます。それまで違うそろばん塾に行っていたのだからと、助手の女性の先生が『あなたは分かるでしょ?この計算をやっておいてね』といって、基本的なことは何一つ教えてもらえなかったのを今でも覚えています。
たった2回行ったきりの塾では、基本的なことと言ったら、そろばんの名称やはじく指の使い方だけで、足し算すら習っていなかったのです。何をどうしていいのか分からないので自信がなくなり、小学校低学年の自分には、初めての場所で、分からないと発言する勇気もなかったのです。
どうしてあれ程そろばんにのめり込んだのだろう……これまで考えたこともありませんでした。教室の中での席は自由でしたが、なんとなく皆お気に入りの席があり、いつも同じ席に座っていました。
そして、口には出しませんでしたが、周囲の生徒に負けたくないという気持ちが湧き上がってきたのです。計算するスピードも、自分の中で競争するようになっていきました。こうして徐々にのめり込み、高校生の頃には大会に出場するまでになりました。そろばんが好きだから、そして、実生活でも、確実に計算に対しての良い影響が出ていたので、あそこまでのめり込めたのだと思います。
現在、大会のレベルも上がり、小学生でも段位取得者がおりますが、自分の頃はまだ珍しく、大会に出場できること自体、とても名誉なことだったのです。そろばんが上達できるかどうかは、塾で指導する先生の実力次第、そうどこかのサイトで見たことがあります。
自分の通っていた塾では、毎年の大会やコンクールで良い成績を修め、数年前には全国一も輩出している塾です。これを考えてみても、とても良い先生にめぐり合えたお陰で、自分もレベルの高い、日本珠算連盟の段位を取得するまでになれたのだと、深く感謝しているのです。