それゆけ!石油探検隊

石油から生まれるものは?

石油が燃料以外の用途でも使用されていることはご存知でしょうか?
石油を原料としているものは、ガソリンや灯油などの石油製品だけではないのです。石油の主成分である炭化水素には、様々な種類が存在しています。
石油を原料にしているものには、私たちが普段身につけるものや口にするものが含まれているのです。

石油を工業原料にする石油化学

石油を工業原料にする石油化学

石油化学は、石油を化学的に変化・化合させて新しい物質を作り出すための化学です。

石油化学が誕生してまだ一世紀も経っていないのですが、石油化学が現代までに生み出したものは現代社会を支えるほどの重要性を持っているのです。

石油を変化させるための方法とは

石油は主成分が炭化水素で、炭素と水素によって構成されています。炭化水素は燃焼させれば水と二酸化炭素に分解することが出来ますが、燃焼や酸化反応では石油を様々な形に変化させることは出来ません。

そこで、登場するのが「触媒」です。触媒とは、単体では何の影響を与えることは無く、特定の物質の化学反応を促進させる力を持った物質のことで、石油化学に適した触媒の発見によって石油化学の可能性が開けたのです。

石油化学の出発点は?

石油化学の原点は、「もっと石油を上手に使えないか」という欲求でした。その欲求が原油から石油製品を選り分ける常圧蒸留法を、重油からガソリンを生み出す「熱分解法」や「接触分解法」を生み出したのです。
石油製品が様々に作られるようになると、石油製品を原料にした新しい物質の研究が行われるようになったのです。

石油化学の誕生したタイミングのよさ

もしも、石油が主力エネルギーになるのが早かったら、現代のような石油依存文明は訪れていなかったでしょう。もしも、17世紀に石油が燃料として使われるようになっていたら石炭に負けていたかも知れません。酸素が確認されていなかったような時代だったなら、石油製品を作るというアイデアさえ浮かばなかったかもしれません。

石油化学が誕生した19世紀と言う時代は、「科学万能」を合言葉にして科学技術の開発・普及が国家によって推し進められていた時代でもありました。石油化学は、時代の波を受けて盛り上がっていった科学なのです。

石油化学で使われる石油製品

石油化学において、もっとも多く使われる石油製品がナフサです。ナフサは「ホワイトガソリン」として燃料用途にも使用されていますが、その真価を発揮するのは石油化学においてなのです。
ナフサのほかにはガソリンや石油・軽油、油田から原油とともに採掘される天然ガスなどが石油化学で様々な製品に変化します。

石油化学によって作り出されるもの

石油化学によって作り出されるもの

では、石油化学によって石油製品から作り出されているものにはどのようなものがあるのでしょうか?


プラスチック

プラスチックは、石油化学によって生み出された素材として有名です。プラスチックが開発されるまでは木や竹やゴムなどの植物由来の素材か、金属由来の素材しか選択肢が無かったのですが、プラスチックが開発されてから選択肢が増加し大いに工業が発展するための契機を生み出したのです。

合成ゴム

ゴムは、熱帯地方に自生するゴムノキの樹液を加工して作られるものですがその需要の高さは、既に天然のゴム資源だけでは賄いきれるものではありません。そのため、石油製品を加工することで天然ゴムと同じ性質を持つ人工樹脂を生み出したのです。

アスファルト

アスファルトは、石器時代から人類によって使用されてきた天然の接着剤です。当時は黒曜石で作った鏃を矢に固定するために使用されていたといわれています。アスファルトもまた石油化学の産物として、重油から抽出され道路舗装などに使われているのです。

食品関連

人体を構成するたんぱく質は、窒素・酸素・水素・炭素の組み合わせによって成り立っています。体を動かすためのエネルギー源になる炭水化物も炭素・水素・酸素の組み合わせで成り立っています。石油もまたこれらの元素の組み合わせによって成り立っています。そのため、かつては石油を原料とした食品や調味料の開発が行われていたのです。

化粧品

化粧の歴史は、クレオパトラやシバの女王などの歴史上の人物などに見ることが出来ます。化粧は女性を美しく飾るための方法として、様々な天然材料で作られてきました。現代の化粧品の大半は、石油由来の成分で作られています。

液化石油ガス

私たちが料理やお風呂を沸かすときに使用するガスも、石油から作られています。油田から原油とともに採取される天然ガスや、原油を原料にして作られるプロパンガスなど、熱源としてのガスには石油が絡んでいるのです。