いろいろなピラミッド
ピラミッドの形は1種類だけではありません。もちろん大きさも違いますし、建造したファラオ(王)や時代によっても形が違ってきます。ピラミッドの建造の歴史は約1500年にも及んでいるのを考えると、いろいろなピラミッドが存在するのもうなずけます。
ピラミッドの形
私たちがよく知っている、ギザの三代ピラミッドの形は整っていてとてもきれいです。しかし、ピラミッドが作られはじめた時代のものは、階段のように段のついたものでした。
その後、段のついたピラミッドから若干段がとれた、先端のあまりとがっていないお椀をひっくり返したようなピラミッドになっていきます。
私たちが「ピラミッドの形はどんな形?」と言われると三角形を書くように、クフ王が作ったきれいな四角錐のピラミッドへと変化していきます。
メイドゥムの崩れピラミッド
屈折ピラミッドや赤のピラミッドを作ったスネフェル王。メイドゥムの崩れピラミッドもスネフェル王によるものです。
遠くから見ると、何かの要塞のようにも見え、崩れる前はどのような姿をしていたのか、想像をかき立てられるピラミッドです。四角錐のピラミットで、真正ピラミッドはこの崩れピラミッドから形を変えて作られたものとされています。
場所はメイドゥム地方のはずれにあり、村のどこからでも見ることが可能です。クフ王の真正ピラミッドの傾斜が51度50分に対して、崩れピラミッドの傾斜は74度でかなりの急角度になっています。そのため、表面を覆っていたであろう化粧石は剥がれ落ちてしまっています。
ここは観光地ではなく、観光ツアーのコースに入ることもありません。ひっそりと立ち続ける崩れピラミッドに哀愁を感じます。
足場として盛られた土がそのまま残され、砂の中に埋もれたピラミッドのようです。そこだけが異空間で、時間が止まっているかのような錯覚さえ覚えます。
中南米のピラミッド
ピラミッドはエジプトにあるものだけではありません。日本にもあるといわれていますし、中南米、メキシコにも存在しています。
古代メキシコのピラミッドとエジプトのピラミッドの違うところは、見た目が四角錐ではなく段のついているピラミッドで、だいたいが中央部分に階段がついていて、登れるという特徴があります。実際に登ってみると、傾斜のなだらかなものと急勾配のものとがあります。
決定的に違うのは、メキシコのピラミッドは、神殿として使われていたということです。エジプトに数多くあるピラミッドを押しのけて、世界で三番目に大きい「太陽のピラミッド」と呼ばれるものも存在しています。
テオティワカンの太陽のピラミッドは、ピラミッド中央にある階段もなだらかで、登りやすいピラミッドです。詳しくは別の項で紹介していきましょう。
COLUMN
幼い頃、図書館で借りたエジプトのミステリー系の本のことを思い出しました。王家の谷で発見されたツタンカーメンの墓。発掘に関わった人々が次から次へと命を落としていくと言う内容だったと思います。
幼い自分は、王家の谷もピラミッドも何もかもが頭の中で一緒になっていて、ピラミッドに入ると命がない! そう信じこんでいました。どうやらこれは作り話のようですが、小さい頃からピラミッドに興味を持ち、砂漠のど真ん中にそびえ立つギザの三大ピラミッドに思いを馳せたものです。
大人になり、実はギザの三大ピラミッドの目の前は市街地だということを知り、更にはスフィンクスの目と鼻の先にはファーストフード店や、その2階には有名なピザ店があったりと、エジプトやピラミッドを知れば知るほど夢は音をたてて崩れていったのです。心は崩れピラミッドそのものです。
それでも謎の多いピラミッドには魅力を感じずにはいられませんね。
|