その他の品種
じゃがいもの二大品種は男爵薯とメークインですが、その他にも様々な品種があります。北海道で栽培されているものだけではなく、九州で栽培されているものもあります。
何種類か簡単に紹介していきましょう。
デジマ
四国や九州でも盛んに栽培されているじゃがいもがデジマです。北海道で生まれて長崎で育った品種です。
その誕生は昭和37年、北海道農業試験場で北海31 号とウンゼンを掛け合わせて種子を採取。2年後にこの種子を長崎において養成が重ねられ、昭和46年に「ばれいしょ農林19号」という名前で登録されまし た。
かつて江戸時代に長崎にあった出島から「デジマ」と命名されたのです。収穫できる量も多く、煮物・揚げ物など、使い道の広いじゃがいもになります。
インカのめざめ
名前だけを見ると外来種かと思われがちですが、日本生まれのじゃがいもです。誕生してからまだ日も浅く、インカのめざめとして登録されたのは平成13年のことです。
誕生は昭和63年、南米アンデスとアメリカ品種の交配からできたM822229-5というじゃがいもと、P10173-5というじゃがいもを掛 け合わせて平成6年に島系575号として誕生しました。高値で取引される原産地のアンデス地域のじゃがいもを、日本の風土に合わせて栽培できるように改良 されたものです。
中は濃い黄色でサツマイモのようです。滑らかな舌触りでサツマイモや栗に風味が似ていることから、製菓に使われたりしています。
十勝こがね
十勝こがねは、昭和61年に北海道農業試験場でジャガイモシストセンチュウに強い品種をということで作られた品種です。
平成12年には北海道において、奨励品種に指定されて「ばれいしょ農林41号」の名前で登録されました。油と相性がよく、加工しやすい種類になります。
ベニアカリ
ジャガイモシストセンチュウに強い品種を作るために、昭和59年に北海61号とR392-50を掛け合わせて作られた品種です。
デンプンの原料用とされていましたが、コロッケやサラダの調理にも向いていることから、平成6年に「ばれいしょ農林33号」として登録され、ベニアカリとして命名されました。
身が白くて煮くずれしやすいじゃがいもになります。
さやか
ベニアカリ同様、ジャガイモシストセンチュウに対する抵抗性を持った品種の開発を目的に、昭和58年に北海道農業試験場で作られました。
平成14年に「ばれいしょ農林36号」で登録がなされ、「さやか」と命名されたじゃがいもです。レストランやコンビニエンスストアの総菜など、主に業務用として使われています。
とうや
早生の大粒食用で病害虫に強い品種の開発を目的に昭和56年、北海道農業試験場で誕生したじゃがいもです。
R392-50とWB77025-2を掛け合わせ、実用性を吟味された後、平成4年に「ばれいしょ農林31号」で登録され、主な産地として目指していた道南の洞爺湖にちなんで「とうや」と名付けられました。
煮物などに向いているじゃがいもです。
ホッカイコガネ
品質がよくて収穫量の多いじゃがいもの開発にむけて作られたのがホッカイコガネです。昭和45年に北海道農業試験場で、トヨシロと北海51号の掛け合わせで誕生しました。
様々な検査の結果、昭和56年に「ばれいしょ農林25号」として登録、「ホッカイコガネ」と名付けられました。フレンチフライの原料として使われていましたが、味もよく、品質も高いじゃがいもでしたので、青果用としても販売されています。
様々な品種
こうして挙げた他にも「コナフブキ」や「紅丸(べにまる)」、「ムサマル」などデンプンを採取するためのじゃがいもなどもあり、男爵薯から始まった歴史を顧みても、とても多くの品種が開発されてきました。
そのほとんどが北海道農業試験場での開発で、今でもじゃがいもの歴史を更新しているのです。