男爵薯
男爵薯とも男爵芋とも書くじゃがいもで、北海道でメークインと並んで多く栽培されているじゃがいもです。
メークインと二大品種と呼ばれる男爵芋の歴史は、北海道の開拓時代からありメークインよりも北海道の先輩になります。
男爵薯の特徴
男爵薯の特徴は見た目がゴツゴツしていて芽の部分の窪みが深いことです。中は白く、でんぷんの量も約15%と多くてホクホク感がある煮崩れしやすいじゃがいもですので、コロッケやポテトサラダに向いています。
名前の由来は、男爵薯を北海道にもたらしたのが函館の川田龍吉男爵という人物だったからで、函館近郊の七飯町での栽培から全道に広まっていきました。現在では今金町や倶知安(くっちゃん)町、京極町などが男爵薯の主な産地となっています。
男爵の名前で親しまれているこのじゃがいもは、昭和3年にメークインとならんで優良品種に指定されました。真ん中に空洞ができやすい、目のできる部分が深くて皮がむきづらいという欠点はありますが、じゃがいもの生産高の約60%を占めるじゃがいもです。
収穫量も多くて味もよく、東京市場では生食用として好まれていま す。花は薄紫色をしていて、花の時期になると北海道のじゃがいも畑は淡い紫に染まります。北海道が主な産地ですが全国で栽培されている品種でもあります が、梅雨の時期に収穫された男爵薯は、あまり味もよくなく腐りやすいという欠点があります。
形態の特性
男爵薯の若芽は紫色をしています。その頃の葉の色も同じく紫色を帯びています。
茎の長さも短く、茎の数もあまり多くありません。色は緑ですが赤っぽい紫の まだら模様があります。大きさはワセシロよりも若干小さくてメークインよりも大きくなります。花数も多く、花の大きさも中くらいですが、花粉が少ないため に自然に受粉することはまずありません。まれに実がなっても種子のないものになります。
目の部分は深くてゴツゴツした印象で、目の数は100gのもので 12個程度、300gのいもでは15個ほどになります。
生態
芽がでない休眠期間は長めです。初期の生育や早い時期の肥大性は早いのが特徴です。デンプン価はメークインなどと比べると高いのですが、ワセシロやキタアカリより低くなります。
病害虫に対する抵抗力
ジャガイモシストセンチュウに対する抵抗性を持っているキタアカリなどとは違い、男爵薯は抵抗性を持たない感受性品種です。
ジャガイモシストセンチュウの 発生ほ場で男爵薯を栽培すると、土の中の卵が孵って根に線虫の幼虫が入り込んでしまいます。根から栄養を奪い取って成虫になるので収穫量は落ち、土の中の線虫の数も増えてしまいます。ほ場抵抗性が弱い上に、塊茎が腐ってしまうのもメークインと同じくらいに多いのです。
真ん中が空洞になるものも多く、大きい 男爵薯ほどその発生率は多くなります。真ん中が褐色になって腐ってしまうのも、メークインなどよりも多くなります。
品質性
煮崩れの程度は中で、少し煮えにくい傾向があります。粉ふきいもなどには最適ですが、長い時間煮込むのには向きません。
料理したあとに黒く変色することもあります。じゃがいも特有の香りも強く、多くの人に好まれる味です。
男爵薯は煮くずれしやすい、メークインは煮くずれしづらい。世の中ではそれが常識です。メークインはカレーやシチューに最適。サイトでも散々言ってきましたが、自分の実体験は全くの逆なのです。メークインでカレーやシチューを作ると跡形も無くなってしまいます。煮込み過ぎなのでしょうか。肉じゃがを作るとあまり煮くずれしませんね。それを考えると、カレーやシチューは大量に作って温め直して食べています。原因はこれでしょうか。作り終わってからも何度も何度も火にかけて、レードル(お玉)で焦げ付かないように底からかきあげるようにして混ぜているからでしょうね。
いくら煮くずれしづらいじゃがいもだからといって、何度も火にかけてかき混ぜていれば、いくらなんでも溶けてなくなってしまうという失敗のお手本のような実例でした。