三元豚
三元豚という言葉を聞いたことはありませんか? 豚肉の人気が高まり、日本各地で生産された様々なブランド豚や銘柄豚の人気も高くなっていて「三元豚」という名前で扱われているものも見かけることがあります。独自の飼育方法や豚の品種で育てられているようで、三元豚で有名な養豚牧場も数多くあります。とんかつ専門店などでも、三元豚のとんかつや料理がおいしいと評判のところも見かけます。三元豚がなぜおいしい豚肉といわれているのかちょっと気になりますよね。三元豚とはどんな豚なのかを知ると三元豚の豚肉を食べる時にも今よりもっとおいしく食べられると思いますよ。
三元豚ってこんな豚
「三元豚」という豚は日本各地で見かけることができます。中でも山形・米沢・あざみ野などの地名がついている三元豚や、平田など牧場の名前がついている三元豚などが印象的です。
三元豚の由来
銘柄豚に良く使われる「三元豚」ですが、この三元豚は一つの決まった品種のことではありません。現在、世界中で飼育されている豚の8割り近くが純粋な品種の豚ではなく違った品種の豚を掛け合わせた雑種の豚です。また、国内で生産・流通している豚肉もほとんどが雑種の豚肉で、一代限りの雑種のものや雑種として掛け合わせた豚を何代も同じような品質の雑種として育てられることもあります。雑種の豚を作るために2つの品種もしくは3つの品種を掛け合わせた「三元交配」の豚が一般的です。それは、豚の品種のうち2もしくは3種類の品種を交配させることで肉質の良い豚肉を持ち、より発育がよく、肉質にばらつきのない豚を育てることが目的です。また、純粋種の豚に、肉質が良くてもあまり大きくならなかったり、一回に生まれる子供の数が少なかったり、発育が遅いなどといった欠点がある場合に体の大きな品種や子沢山の品種などを掛け合わせてやることで、欠点を補いよい特徴を併せ持った品種にすることができます。こうして、よりおいしく良い品質の豚肉を作るために組み合わされた豚のことを「三元交配豚」つまり「三元豚」といいます。
三元豚の狙い
豚肉は私たちにとって大変身近な食材です。いくら安くてもおいしくない豚肉では料理に使いたくなくなってしまうかもしれませんし、いくらおいしい豚肉でも日常的に購入するのが難しくなるほどの値段がついている豚肉では頻繁に購入することができませんから、身近な食材とは思えなくなってしまいますよね。三元豚を生産するのには、安定した豚肉の提供とおいしい豚肉を作るという目的があります。三元豚は基本的にはある程度の生産量がなければ安定して豚肉を出荷することができません。そのため一定期間内にある程度の豚肉を安定して生産することができる豚の品種を組み合わせることが必要です。日本で行われている一般的な三元交配はLWDといわれる組み合わせの豚ですが、その他にも国内でそれぞれに特徴のある、肉質の良い三元豚をつくるために交配される品種が色々と工夫がされています。中国豚や猪に近い種類の豚を肉質の改良に利用することもあります。そのためそれぞれの三元豚の味や特徴は少しずつ違い、他の三元豚との違いがわかりやすいように生産された地域や牧場の名前をつけている三元豚が多くあります。
三元豚の豚肉
日本各地でおいしい豚肉を、と育てられている豚には色々な組み合わせの三元豚がいます。掛け合わせている品種が同じ三元豚でも、育て方やえさに特徴のあるものも豚肉の味や品質に違いが出てくるようです。
三元豚の組み合わせ
日本で行われている三元交配は、LWDという交配がもっとも多く使われています。そのほかにも、LBDなどといった組み合わせや、中国の豚を利用したLDKといった組み合わせも利用されています。三元豚には、大型で発育が良く、子供の数が多いランドレースという品種の豚が利用されることが多くあります。
LWDの特徴
LWDは「ランドレース(L)」「大ヨークシャー(W)」「デュロック(D)」の三つの豚の品種を組み合わせた三元豚です。この三元豚は「ランドレース(L)」の発育・保育・産子数の良さと「大ヨークシャー(W)」の大型で皮膚が薄く脂肪と赤みのバランスの良さ、「デュロック(D)」の肉質の良さをうまくあわせもっているのが特徴です。日本国内ではもっとも多く普及している三元豚といえます。
LDKの特徴
中国の豚として有名な金華豚を利用した三元豚は日本でもあまり多くは生産されていないタイプの三元豚です。発育・保育・産子数の良い「ランドレース(L)」と肉質がよく世界三大ハムの一つの原料としても人気の高い「金華豚(K)」、さらに肉質の良い丈夫な品種である「デュロック(D)」を掛け合わせた三元豚です。この三元豚はおいしい三元豚としてかなり人気の高いようで、銘柄豚の中でも有名なものがあります。
LDBの特徴
日本の黒豚として有名な「バークシャー」という品種を使った三元豚です。黒豚はおいしいことでも有名ですが、体があまり大きくなく成長速度や子供の数があまり多くないため比較的高めの価格になっていることが多くあります。しかし、この「バークシャーの肉質の良さに「ランドレース(L)」の発育・保育の良さと多産である特徴に加え、「デュロック(D)」の丈夫さと赤身のおいしさをあわせ持つことでさらに特徴のある豚として人気の高い三元豚といえるのではないでしょうか。
三元豚を食べよう!
三元豚は一般のスーパーなどで見かける普通の豚肉にも多いですが、それぞれの特徴や育てられている地域独特の方法で育てられている三元豚は「銘柄豚」「ブランド豚」として扱われていることも多くあります。豚の品種によっても肉質や味に違いが出てきますが、与えられるエサや飼育される環境によっても違いが出てくるようです。そのため、特定の三元豚を扱うレストランやとんかつ・しゃぶしゃぶ専門店など料理店もあり、その三元豚をよりおいしく味わうために色々な調理法や食材を合わせるなどの工夫がされています。しゃぶしゃぶなどは三元豚と同じ産地の食材を一緒に使ったり、とんかつのタレに地域の特産美津を使ったり、三元豚の育った地域の食材使った料理は、三元豚の味をいっそう引き立ててくれるものもあり、各地の三元豚を食べ比べて見るのもいいですよね。三元豚を家庭でもより味わって食べる方法の一つとして、三元豚を扱うレストランなどと同じような食材を使ったレシピの料理作って三元豚の産地の味を楽しむのもおすすめの楽しみ方ですよ。