銘柄豚

料理番組やグルメリポーターの旅番組などで、おいしい豚肉として日本各地の銘柄豚やブランド豚が頻繁に取り上げられています。銘柄豚と呼ばれる豚は年々増えていて、どういった特徴や品種の豚肉なのかあまりよくわからない場合も多いのではないでしょうか。なんとなく特別な豚肉のイメージがある銘柄豚・ブランド豚ですが、どういった点が特別なのでしょうか。各地のブランド豚・銘柄豚の特徴を知るとその地域の食材や名産物なども一緒に楽しむことができるかもしれません。

銘柄豚ってこんな豚

銘柄豚は全国に250~260ほどの種類があるといわれています。皆さんはどんな銘柄豚を知っていますか? すべての銘柄を知っている人はあまりいないと思いますが、スーパーやレストランで見かける銘柄豚・ブランド豚と呼ばれる豚はちょっと値段が高いこともありますよね。

銘柄豚と呼ばれる豚とは

「銘柄豚」「ブランド豚」と呼ばれる豚は、豚の品種がブランドもしくは銘柄になっているわけではありません。現在日本にいる主な豚の品種は、ランドレース・大ヨークシャー・中ヨークシャー・デュロック・ハンプシャー・バークシャーの6種類の欧米原産の豚で、そのほかに金華豚・梅山豚・北京黒豚など中国の豚の品種や沖縄の在来種であるアグー黒豚などの品種の豚も、数は少ないですが飼育されています。
これらの豚がそれぞれに持つ体系や肉などの資質、成長や出産・保育などの能力を飼育環境や生産者・消費者のニーズに合わせ、豚の品種を掛け合わせて新しい雑種の豚が生み出されます。こうして品種の違う豚を掛け合わせて生まれた種類の豚を「交雑種」といい、3つの品種の豚を掛け合わせた交雑種のことを三元交雑もしくは三元豚とも呼びます。この生まれた豚の中から特に優秀な特徴のある豚が、ブランド豚や銘柄豚といった豚として登録されていきます。
また、独特のエサを与えたり独自の飼育方法で育てられている豚も銘柄豚やブランド豚として扱われることがあります。品種の改良にはそれなりの時間がかかりますし、飼育方法によってはコストがかかることもあります。

銘柄豚・ブランド豚の基準

ブランド豚・銘柄豚と呼ばれる豚の種類は、豚の品種ではありませんが、消費者に一定の品質で豚肉を提供するためには、それぞれに改良された豚の肉質や能力が一回限りでは意味がありません。そのためブランド豚・銘柄豚は、改良された豚肉の品質や能力を受け継いだ優秀な豚の固体を雄・雌に分けてその能力や資質を検定していき、さらに繁殖・産肉能力などによってそれぞれに基準があり基準をいたしたものだけが、繁殖登録・産肉登録を行うことができます。また、特別な飼育方法を徹底して行って飼育された豚にもハーブ豚などの特別な銘柄が付けられることもあります。銘柄豚やブランド豚に登録されている豚がどういった特徴を持つ豚肉なのかということがあまりはっきりしない場合や品種の改良に細かい基準があることはあまり知られていないため、銘柄豚やブランド豚は同じ産地の豚である、とか、同じ養豚牧場で生まれたものである、などの誤解を招くことも多いようです。

銘柄豚・ブランド豚の特徴

地域の特色を生かした独特の方法で育てられている豚や、品種にこだわった豚、肉質にこだわった豚など、銘柄豚・ブランド豚にはそれぞれ特徴があります。おいしいと評判の高い銘柄豚やブランド豚は全国的にも有名なものがあり、ご当地の名産になっている銘柄豚もいるようです。

品種・肉質にこだわった銘柄豚の特徴

銘柄豚やブランド豚と聞いて真っ先に思い浮かべるのはどんな豚肉でしょうか?イベリコ豚のように世界的に有名な豚肉や、国内でも人気の高い黒豚などを思い浮かべる人も多いと思います。イベリコ豚や黒豚はブランド豚でもありますが、基本的には特定の品種の豚であることが条件の一つになっている豚です。イベリコ豚はイベリコの血統が75%以上のものでなければイベリコ豚と呼ぶことはできません。こういった特定の品種が条件になっている豚はどちらかというと、「ブランド豚」と呼ばれることが多いようです。また、黒豚はバークシャー種の豚肉のみが黒豚として販売されますが、黒豚の中でも鹿児島などは、地域の特徴を生かして黒豚を育てているため、独自に銘柄の登録を行っています。また、いくつかの豚の品種を掛け合わせて生まれる交雑種の豚のなかには掛け合わせる親豚を、金華豚や数の少ない中ヨークといったこだわりの品種で改良している東京Xなどの銘柄豚もあります。こういった品種にこだわった銘柄豚は、豚の品質の夜肉の質や味を重視しているため、体のあまり大きくならない豚や発育が比較的遅いなどの特徴がある場合や、親豚の数が少ないことから、一回に産まれる豚の数に限りがある場合もあります。

飼育方法やえさにこだわった銘柄豚の特徴

国内でもっとも普及している交雑種の豚は、LWDといわれる三元交雑種の豚です。長年交配されてきた三元豚なので、肉の質も生産性も安定しています。飼育方法やエサを独自のものを使って豚肉の香りや味に違いを持たせて銘柄豚・ブランド豚として登録しているものもあります。豚肉の味や香りにもっとも影響が出る時期は肥育している期間なので、肥育期間のみえさを特定の麦やサツマイモを与える場合や、エサにわいんや酵母などを混ぜて与える場合もあります。こういったエサに特徴のある豚肉は、甘みや臭みが少ないといわれていますが、生産者が肉質や臭みに一定の基準を設けていなければなかなか差はわかりにくいかもしれません。しかし、エサに地域の特産物や名産物を使っていることがおおいので、地域の食材に合わせた料理には適した豚肉といえるかもしれません。また、飼育方法にこだわったものには、イベリコ豚のように森の中で放牧して育てる銘柄豚や豚舎などに木屑や発酵敷料を使っているところもあります。飼育期間中に運動量が多いと、脂肪が筋繊維に入り込み、良質な豚肉になりやすいといわれていますが、運動場や放牧地にそれなりの広さが必要になるため、手間も費用もかかってきます。そのため、出荷頭数があまり多くならなかったり、価格が比較的高めになってしまうようです。

銘柄豚を食べよう!

全国には銘柄豚が数多くいます。それぞれに特徴のある豚肉ばかりですが、その地域独特の育て方やえさと合わせた料理が、地域の料理店やレストランなどで工夫されていることもあります。旅行に出かけた際にそういった地域の銘柄豚を味わってみるのもいいですよね。また、最近はスーパーなどでも色々な銘柄豚・ブランド豚を扱っていますが、人気が高く数が少ないものはなかなか購入することができないこともあります。そういった場合には、生産地から直接取り寄せることが可能な場合もありますので、お気に入りの豚肉が手に入れにくい時には問い合わせてみるといいでしょう。手軽に取り寄せられることもあります。銘柄豚・ブランド豚の種類は豊富で違いや基準などがわかりにくいこともあります。銘柄豚やブランド豚を料理に使う場合には、どんな特徴のある銘柄豚なのかを調べてみると、その銘柄豚独特の特徴を味わうことができるのではないでしょうか。


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