黒豚
日本で高級な豚肉といえば、「黒豚」が頭に浮かぶ人が多いと思います。スーパーなどで見かける豚肉には、日本全国色々な産地の黒豚の豚肉がありますが中でも鹿児島の黒豚が有名です。また、国内では「黒豚の豚肉はおいしい豚肉」というイメージが強いようで、黒豚のしゃぶしゃぶなどはちょっと高価なものが多いように思いますよね。色が黒い豚は世界中の豚の品種中にも数多く存在していますが、黒豚とはいったいどのような豚なのかあまり知られていません。
黒豚ってこんな豚
黒豚といえば、日本ではおいしい豚肉の代名詞のようなイメージがありますが、ようは色の黒い豚のことですよね。しかし、肉の色が黒い黒豚の豚肉というのは見たことがありません。豚肉の色は同じようなピンクでも特に「黒豚」と呼ばれている黒豚とはどんな豚なのでしょう。
日本の黒豚
日本で黒豚といえば、鹿児島県が有名な産地として知られていますが、日本で現在「黒豚」として飼育されているのは、日本にもともといた純粋種の豚ではありません。日本人と豚肉との歴史は古く、特に沖縄や九州地方には在来種の豚や中国からわたってきた豚が数多くいたといわれています。しかし、日本の歴史上豚肉を食べる文化が一時衰退したときに在来種の豚も減ってしまったようです。現在、国内で「黒豚」として扱われている豚肉は、イギリスが原産の「バークシャー種」という豚のことで、沖縄の島豚や鹿児島に残る数少ない在来種の黒豚をバークシャーとかけあわせて作られた豚もいます。耳は小さめでぴんと立っていて、全身の6箇所、四肢・頭・尾に白い部分「六白」があるのが特徴です。丸っこい体つきですが比較的小さめの豚です。鹿児島の黒豚は「鹿児島バークシャー」と呼ばれることもあります。日本国内ではバークシャー以外の品種の豚肉は販売する際に「黒豚」と表記することはできません。バークシャーとほかの品種を掛け合わせた豚の豚肉の場合、「黒豚」ではなくバークシャーと記載することは認められているのですが、購入する人が黒豚と誤認されるような表記や絵を記載することはできません。
沖縄の黒豚
沖縄の在来種として知られる黒ブタに「島豚」もしくは「アグー」「島ウヮー」と呼ばれている豚がいます。沖縄ではかなり古くから豚の飼育が行われていて、豚肉の消費も盛んです。現在、沖縄で飼育されている黒豚の多くは、鹿児島から入ってきたバークシャーか、バークシャーと島豚が掛け合わされたものや、アメリカ原産の「ハンプシャー種」と掛け合わせたものなどが多く、純粋な島豚はほとんどいません。現在では純粋な在来種のアグー黒豚は数えるほどしか残っていません。そのため、純粋なアグー黒豚を残すためにアグー黒豚の血統の入った豚などを利用して純粋種に近いアグー黒豚の保護に努めています。もともとのアーグ黒豚はとても太く短い足で、野生の猪に近いような長めの硬い毛に覆われています。また、お腹や背中が丸い体型で、体力・免疫力も強く粗飼料のみでも大変良質な肉質になる沖縄の気候や風土に根付いた豚として親しまれていました。
海外の黒豚
現在世界中にいる豚の品種の中でも黒豚として有名な品種がいくつかあります。日本にいるバークシャー種も、もともとはイギリスが原産のヨーロッパ在来種の豚とアジア在来種の豚の交雑種です。また、高級豚肉として有名なイベリコ豚はスペイン地域で数少ない在来種の黒豚ですし、イベリコ豚と同じ品種の豚が原種になったといわれているフランスのビゴール豚も美食家の間では大変人気の高い黒豚です。世界にいる豚の品種のうち半数近くがいるといわれている中国では黒豚の種類も多く、東京Xの素になった北京黒豚や漢江黒豚・大囲黒豚など土地の名前のついた黒豚も多くいます。世界の黒豚の中には、猪に近い性質を多く残している品種も黒豚には見かけることがあります。
黒豚のお肉
日本で黒豚と呼ばれているバークシャーをはじめ、黒豚の品種の豚肉は肉質が良いといわれているものが多くあります。黒豚は肉自体の味がしっかりしているといわれているものもあります。
黒豚の豚肉について
日本の黒豚は、バークシャー種で無いと黒ブタということはできません。そのため、日本の黒豚の肉質は、基本的にはバークシャー種の豚肉の特徴と考えることができますが、日本の風土や気候、さらに鹿児島のサツマイモや信州のりんごなど地域独特のえさを与えているとこともあります。そのため、国内の黒豚でも味や香りに少しずつ特徴のある独特の豚肉が数多く作られています。もともとバークシャーの豚肉は、筋繊維のきめが細かく水分を多く含んでいるころから、ジューシーな豚肉になります。そういった肉質が良いことや、一回の出産頭数や発育の速度が比較的遅いということもあり、黒豚の豚肉はほかのものに比べて若干価格が高いものが多いようです。
黒豚の料理
黒豚は国内でも人気のある豚肉です。黒豚の豚は、肉の味がほかの豚肉に比べてしっかりしていたり臭みが少なかったり、という特徴があるものがあります。そのため、しゃぶしゃぶや鍋、とんかつなど豚肉そのものの味を味わいやすい料理で食べられることが多いようです。最近は、黒ブタも産地によって独特の飼育方法で育てられていることから、「鹿児島黒豚」「アベル黒豚」など産地や独特の名前がついているものも増えてきています。各地で独特の飼育方法で育てられた黒豚には、その黒豚の育った地域にある食材を使ったり、肉質にぴったりの料理方法なども考えられていることがあます。各地の黒豚をその豚肉にあった調理方法で味わってみるのもいいですよね。