イベリコ豚
高級食材としても知られるイベリコ豚は、特にイベリコの生ハムなどが有名です。スペインで昔から育てられているイベリコ豚に、どんぐりをたっぷり食べさせて放牧させて育てるスペインでも人気の高い豚肉です。はじめは食通の間で話題になっていましたが、他の豚肉にはない深い香りとさっぱりとし味わいは世界中で大注目されていますよね。最近では日本でもイベリコ豚のおいしさにはまってしまう人も多く、特になかなか購入することのできない生のイベリコ豚はあっという間に完売してしまうこともあるようです。
イベリコ豚ってこんな豚
最近は国内でも知名度が高くなっているイベリコ豚は、レストランなどでも扱われているところが多くなってきました。おいしいイベリコ豚を食べたことがある人も、これから食べてみたいという人も気になるイベリコ豚はこんな豚です。
イベリコ豚の黒豚
イベリコ豚はスペインのイベリアという種類の黒豚が原種といわれています。もともとは、かなり古くからスペインにいた野生の豚で、猪に近く真っ黒の身体と蹄が特徴的な豚です。現在使用されているイベリコ豚も自然の状態に近い環境で育てられています。そのため、肥育中のイベリコ豚が放牧されているところを見ると、木陰で昼寝をしていたり、走り回っていたりと気持ちよさそうにのびのびとしているのが印象的です。一頭あたりの飼養面積も非常に広く何百年も昔からある樫やコルクの森が放牧地として使われています。どんぐりを食べて育つのがイベリコ豚というイメージですが、どんぐりを食べないまま出荷されるイベリコ豚もいます。一般に「イベリコ豚」と呼ばれるものは純粋なイベリコ豚の血が50~75%以上の豚をいいます。ピレネー山脈に生息していたヨーロッパの在来種のビゴール豚がイタリア地方に生息するようになったものがイベリア種になったのではないかという説もあります。
イベリコ豚の育て方
イベリコ豚の特徴である旨み成分の豊かな赤身オレイン酸をたっぷり含んだ脂は決まった飼養管理方法で育てられているためです。イベリコブタは生まれると50~60日くらいまでは母豚の母乳で育てられます。これがイベリコ豚の飼養方法の第一段階になります。次に、体重が90~100kgを超えるくらいになるまでは、健康的な身体を作るために広い放牧地でどんぐり・木の根・牧草を食べて育ちます。穀物の飼料は必要に応じて与えられますが、基本的には太らないように必要最小限のみを与えます。次に最終段階は、放牧肥育期間で「モンタネーラ」と呼ばれます。この放牧期間は、どんぐりを主に食べさせるために10月から2月もしくは3月まで樫やコルクの森で肥育されます。平均的にみて、どんぐり7~9kgで1kgの体重の増加が見られます。この期間に肥育が始まる前の体重の50%以上体重を増加させられるイベリコ豚が良いとされています。そのため、このモンタネーラに使われる放牧地には豊かな森が必要とされます。
イベリコ豚のお肉
スペインから日本に豚肉が入れることがしばらく禁止されていたため、人気の高いイベリコ豚も日本人の口にはなかなか入らないものでした。しかし、2004年から輸入が再開するとイベリコハムの他に冷凍された生のイベリコ豚も手に入れることができるようになりました。イベリコ豚を使った料理のレシピの数も増えてきましたから、自分で色々つくっていたいですね!
イベリコ豚の肉質
肥育期間中には自然のどんぐりや牧草を食べているため、イベリコ豚の豚肉には独特の芳香とオリーブオイルに含まれることでも有名なオレイン酸を豊富に含む脂肪が特徴です。このオレイン酸は、動脈硬化や高血圧の予防に効果があるとして注目を集めている身体に良い脂です。スペインのイベリコ豚を昔から食べている地域の人に心臓に疾患が起こる人が少ないのはイベリコブタのおかげかも知れませんね。また、広い牧草地を歩き回りながらどんぐりを捜しているので毎日適度な運動量があり、筋繊維の中に細かい脂肪が入り込むことで霜降り状の上質な豚肉になります。一般的な豚肉は脂肪の溶ける温度が36度前後なのに対し、イベリコブタの脂肪は20度前後で溶けはじめます。そのためイベリコ豚の脂肪は身体にやさしい脂分といえます。イベリコ豚から作られる「ハモン・イベリコ」「バレタ・イベリコ」などイベリコハムとともにイベリコ豚の肉質も世界的に有名になっています。イベリコハムには、後ろ足を使った「ハモン・イベリコ」と前足を使った「バレタ・イベリコ」があります。また、イベリコ豚の中でもどんぐりを使った最も良質のイベリコ豚を使ったハムは「ハモン・イベリコ・デ・ジョベータ」といいます。
イベリコ豚の種類
豚がと肉質も最高級といわれているイベリコ豚には独自の3つのランクがあり、モンタネーラという放牧肥育期間中に何を食べているかということでイベリコ豚のランクが決まってきます。
デ・ベジョータ「Bellota」
放牧肥育期間中にどんぐりや牧草を食べて一定の体重増加があったイベリコ豚のことです。一番グレードの高いイベリコ豚で、肉質・脂肪がもっとも良く、世界的に有名な「どんぐりを食べて育ったイベリコ豚」はこのベジョータを指します。
レセボ「Recebo」
放牧肥育期間中にソング利や牧草だけでは一定体重まで増加しなかったイベリコ豚に、穀物の飼料を与えて規定の体重まで肥育して出荷されたものです。十分ではないですが、肉質の決め手になるどんぐりや牧草、木の根などを食べてはいるので、ベジョータに次ぐ品質の豚肉といえます。
ピエンソ「Pienso」
血統的にイベリコ豚の品種であっても、どんぐりなどの独特の飼養方法を行わず穀物飼料を与えて育てられたイベリコ豚です。
イベリコ豚を食べよう!
イベリコ豚のハムの始まりは、冬の保存食としてかなり昔から作られてきたものだといわれています。イベリコ豚の後ろ脚を使った「ハモン・イベリコ」は世界中から人気の食材ですが、ほかにもイベリコ豚を使ったチョリソーなどもあります。また、その良質な肉と脂を味わうのには、生のイベリコブタも簡単にソテーにするのがおすすめです。さっと焼いただけのソテーでもほかの豚肉との味の違いははっきりわかると思います。生のイベリコ豚を通販などで購入した場合、自分で燻製にしてみるのもいいかもしれません。最近では国内のレストランなどで、イベリコ豚を使った料理やしゃぶしゃぶ、とんかつなどの和食のメニューも増えてきています。しかし、イベリコ豚の血統が基準をみたしていない交雑種の豚やほかの品種の豚と掛け合わせたものがイベリコ豚として扱われていることもありますので、通販や販売店で購入するときにはよくチェックしてくださいね。