紙生活
基礎知識

紙の基礎知識

基礎知識を知る上で、紙とはそもそも何なのかを知る必要があります。その原料や製造方法などについて学習していきましょう。まだ小学生の低学年の頃だったでしょうか。某学習科学雑誌の付録に、手漉きで紙を作ってみようというのがあって楽しく作った記憶があります。

紙とは

紙の定義とはどのようなものなのでしょうか。日本工業規格JISでは「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの」とされていて、言い換えると「植物の繊維を水の中でほぐしてバラバラにし、薄く金網などで抄いたもの」ということです。現在、紙の原料のほとんどが木で作られていますが、欧米では紙と同じ植物の繊維の使い古した布を原料にして紙を作っていました。時代と共に紙の需要も高まり、1845年にドイツの技師により木を繊維にする機械が作られました。こうして紙の原料に木が使われるようになったのです。

紙の区分

紙と言っても種類は様々です。大きくは「紙」と「板紙」に分類されます。その中でもさらに細かく分類分けすることができます。

印刷・情報用紙

新聞紙、雑誌、OA紙、小切手、紙幣、ノートなどの情報を記録したり伝えたりするもの。

包装用紙

包み紙、ショッピングバッグ、封筒、お菓子などの包み紙などの紙。クラフト紙とロール紙があります。

衛生用紙

ティッシュペーパー、キッチンペーパー、トイレットペーパーなどの水分や汚れを吸収したり、拭き取るために使用するもの。

雑種用紙

加工原紙、半紙、ティーバッグ、ライスペーパーなどの用途のために加工された紙。

板紙

ダンボール原紙

パルプ芯やダンボールに使われる物。

紙器用板紙

絵はがき、石けんや化粧品の化粧箱などの、表面にさらしパルプを使用した紙。

その他の板紙

布やテープなどの芯や紙の筒、建材用の防水の原紙など。

紙の原料

紙の原料はパルプと呼ばれ、木をほぐして出る繊維を集めた物です。紙は針葉樹や広葉樹から採られるフレッシュパルプと、一度紙として使われて再びパルプ化した古紙パルプがあります。最近注目されているのは、木を原料としない非材木原料の紙が注目されています。針葉樹は繊維が長いので紙の強度がよく、広葉樹は繊維が針葉樹に比べて短いので、平滑性がよくなります。古紙パルプは一度紙として使用されていますので、紙の強度もしなやかさも低いものとなり、数回再生されるうちに繊維が弱まって再生できなくなります。

紙ができるまで

紙を作るには、現在ではそのほとんどが機械作業で、手で漉くのは和紙くらいかもしれません。どのような工程で紙がつくられるのでしょうか。

原料

木材チップが使用されます。住宅用に使われた木材の残りや住宅用に向いていない細い木や、間伐などで出た木のチップが使われます。もちろん古紙も利用されます。

蒸解

大きな蒸解釜で原料となるチップを煮込みます。煮込むことにより繊維のみを取り分けることができます。蒸解釜の温度は170度にまで上昇します。

漂白

取り出された繊維はそのままでは使用することができません。二酸化塩素や酵素などを使って取り出された繊維を漂白してパルプとなります。

調整

パルプの種類も材木から採って作られる科学パルプと、古紙から作られる古紙パルプとがあります。このパルプを色々な割合で合わせて様々な紙を作ります。紙はパルプの繊維を絡み合わせて作るので、繊維を機械によって叩く・潰すを行って繊維同士を絡みやすくします。

漉紙

いよいよ原料から紙の形にしていく工程です。繊維を網の上で絡み合わせて水分をきり、紙層を作っていきます。この工程の後、紙をフェルトに乗せて巨大なローラーの間にプレスしながら通して脱水していきます。更に上記で加熱した鉄でできた円筒状のものに漉いた紙を押しつけて乾かし、十分に水分を取り除きます。水分が完全に乾いた紙の表面に薬品を塗って、印刷に向いている紙にします。それから何本かの鉄のロールに表面に薬品が施された紙を通して、滑らかな締まった状態に表面を加工していきます。

仕上げ

出来上がった紙を巻き取り、ロール状になったものを1枚ずつに裁断したりして製品になっていきます。


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