ナックルは、現代の魔球の項目で取り上げてもいいくらい、怪しげな変化を見せる変化球です。ナックルを主武器に活躍したニークロという選手をご存知でしょうか。その時のナックルの球速は60km前後といわれています。小学生並みの球速でありながら、メジャーリーガーが打ち取られていく様はまさに魔球でしょうか。
フォークは無回転のために、落ちると言いましたが、キャッチャーミットに収まるまでは何十回転かしているのが普通です。しかし、ナックルに関して言えば、キャッチャーミットに収まるまでゼロ回転~数回転とされています。つまり、本当に回転していないのですね。このレベルまで来ると、シームにかかる空気抵抗がばかにならないレベルで関わってきます。このシームの空気抵抗によって、投げた本人ですらどうなるかわからない、ゆれるような変化を見せるのです。ゆっくり来る上に、変化幅もそれほどではないので、ミートできないわけではないのですが、ゆれるような変化、どう動くかわからない軌道のおかげで、まともに芯に当てるのが鬼のように難しいとされています。実際、偶然はとにかく、狙って真芯に当てられるようならメジャーリーガーがとっくに打ち崩しているはず。野球史上でもめったにない変化と破壊力を秘めた魔球と言えます。
ナックルは球速が遅い上に変化も小さいので、三振にとると言うよりは、打たせて取るために投げる変化球といえます。偶然真芯に当たることがあるにしろ、散発であり、集中打を浴びる事はまずないでしょう。このナックルに関して言えば、相手に次はナックルだと読まれてもほとんどダメージがないです。投げた瞬間に低速でばれますし。
しかし、わかっていてなお打てないという、変化球の中でも最強に近い部類に入るといえます。メジャー選手の中には、全球ナックルを投げていて(つまり相手もわかっている)さえ、打ち崩せないという鬼のような投手さえいます。メジャーリーガーでさえこうなのですから、もしあなたがナックルを極めたら、まさに無敵かもしれません。
ここまでの解説を読んで、「よし、ナックルを極めてやるぜ!」と思った方も多いかもしれませんが、まずは握り方をみてください。こんな特異な握り方をしなくては、ナックルボールは投げられないのです。実際この握りをして気がつくであろうことは、手が小さければ、まずアウトってことです。この握り方をしてさえ、なおがっちりとボールをホールドできる手の大きさが必須条件です。次に折り曲げた指を見てもらいましょう。指の数によって2本指ナックルと3本指ナックルに分かれます。3本指ナックルは、コツを掴めば2本指より無回転を維持しやすいと言われていますが、2本指の方がコツを掴みやすいといわれています。まずは2本指で練習しましょう。
※上記は3本指ナックルの握り方
こーんな無茶な握り方をして、さらに投げるときには上手に曲げた指で押し出す(人によってははじく方がいいという人もいます。要は無回転に出来ればどっちでもいいです)ことによって、無回転ボールを生み出す必要があります。すっぽ抜ければただのチェンジアップか、あさっての方向に飛んでいくだけです。習得難易度は最高レベルというか、投げられない人の方が多いでしょう。これだけ強力な変化球なのに、プロ野球選手ですら習得できない人が多いのですから仕方ありませんね。
ナックルは、習得できてきちんとストライクを取れさえすれば、それ以上はまずいりません。ナックルという変化球がすでに最強クラスに強力な武器だからです。ただ、よく聞くのがすぐにナックルを投げられたぜという人。恐らくただのチェンジアップの投げそこないで、落ちているだけです。ボールも回転しているでしょう。投げた後ランダム変化するのがナックルの持ち味なので、一定変化であれば簡単に打たれますし、ナックルではありません。
ナックルは、自分のほうから観るとわからないです。友人にバッターボックスに立ってもらいましょう。ただ、コントロールも安定しないはずなので、ぶつけないように。あと、はっきりいって習得できる人はごくわずかなので、無理しないようにしましょう。
ナックルは最強の座に近い変化球ですが、とにかく覚えるのが難しい変化球です。管理人も正直投げられません。ナックルもどきなら投げられますけどね。そのかわり、習得できたら、かなりの武器になること間違い無しです。難しいとは書きましたが、出来ないとは書いていません。もしも、あなたの手が大きくて、ナックルを握れるようなら試してみるのはいかがでしょうか。