カットボールは分類上スライダーの仲間と言う位置づけになります。個人的には目的自体違うんだから、スライダーとはまったく別物として扱っていいじゃないかと思うので、こうしてまったく違う変化球として説明しちゃいます。個人的な独断なので、気にしないでください。では、カットボールについて考えてみましょう。
こんな意地悪な変化球ほかにはないんじゃないか、と思う"魔球"です。ほぼストレートと同じ球速で飛来して、ストレートと思ってバットを振ったら「ほんのちょっと」軌道がずれるという変化をします。超高速スライダーという感じでしょうか。意地悪なことに、ちょっとだけ沈み込むような変化をしますので、空振りにすらならず、凡打になる可能性が高いのです。ストレートとの2択で攻め込めばかなり有利な変化球です。その性質上、速球投手には大変使いやすい球種といえます。逆にストレートが弱いと、いまいち使いにくいかもしれません。
メジャーのカットボール使い、リベラ投手なんか150kmからのカットボールを投げるんだそうで、こんなのまともに打てませんね。とにかくカットボールは速度が命です。
変化幅がありません。つまり速球と同じ扱いで投げ込み、手を出した相手を凡打に打ち取る、「打たせて取るための」変化球です。握り方・投げ方などが大変ストレートに近いので、負担も少なく、ガンガン攻めたい投手にもってこいの変化球ですね。特に速球投手には、チェンジアップと並んで使い出がある変化球だと思います。
ストレート・チェンジアップ・カットボールの3球種を使えれば、投げた瞬間チェンジアップとストレート、手元に来てからカットボールとストレートの選択を強要できます。相手打者からすればかなり頭を使わされる上に読みにくいので、(配球が単調でなければ)かなりいけるはず。
→ストレートの投げ方はこちら →チェンジアップの投げ方はこちら
ストレートから、わずかに指をずらした感じの握り方、と言えばわかりやすいでしょうか?
こうしてほぼストレートと同様の投げ方をすれば、カットボールの完成です。ストレートが投げられるなら、まず投げられるようになるはずです。なお、シームに指をかけるかどうかで変化幅が変わってきます。カットボールに関して言えば変化幅が少ない方がいいというところがあるので、変化幅の調整ということで覚えておくといいでしょう。
→ストレートの投げ方はこちら
カットボールは、ストレートと同様、普通に投げるだけである程度の変化が期待できます。というよりは、変化幅そのものは少ない方がいいくらいで、打者側でボール一個分くらいずれてくれるのが「打たせて取る」カットボールの目的に沿った変化となります。
ストレートがきちんと投げられるなら、カットボールを習得するのは意外と簡単です。しかし、カットボールは絶妙な変化をしてくれないと、やや遅めのストレートと言った感じで打たれやすくなります。そこでカットボールを使用するなら、まずは相手のミートポイント寸前で変化するようにしなくてはなりません。変化幅が小さいので、打者に届く前に変化が終了したら、そこで終わりです。さらに、球速も必要です。ストレートと遜色のない速度を投げられないと、実戦では使えないと思います。ストレートと同じ投げ方なので、なんとか頑張ってみてください。
→ストレートの投げ方はこちら
カットボールは打者に見切られるか、またはいいタイミングで変化しないと打たれやすいものです。しかも変化幅が小さいので正直投げたほうからすればどの程度変化して、どう飛んで行ったのかがわかりにくいと思います。キャッチャーにアドバイスを聞きながら、打者のミートポイント近くで変化させられるようにしましょう。もちろん、バッターがいてくれればかなり助かります。
カットボールはイキのいいストレートとの抱き合わせ、選択によってより威力を増す変化球です。そこで、カットボールを使用するならストレートの威力を高めることも同時に考えましょう。打者があなたのストレートに警戒すればするほど、カットボールの効果が増してきます。いいカットボールとは、いいストレートがあってこそのものであるわけですね。カットボールは速く・小さく・切れよくのコンパクトな変化が理想系です。