ヤマネのプロフィール 和名:ヤマネ 学名:Glirulus japonicus目:ネズミ目(齧歯目) 科:ヤマネ科 体長:60~80mm 分布:ヨーロッパ、ロシア、アフリカ、中央アジア、中国、日本 環境:森林 |
森の妖精とも言われているヤマネ。その小さな体と、長い毛並みは非常に可愛らしいものです。ですが、ヤマネは日本において絶滅が危惧されている天然記念物でもあるのです。またまた、驚いたことにヤマネは天然記念物であり、昔からその姿と生態を変えない生きた化石でもあるのです。
ヤマネの生態について
ヤマネの出現時期
日本に限らず、ヨーロッパなどにも生息するヤマネ。ヨーロッパでは5000万年前、日本では2000万年前の地層からヤマネの化石が見つかっているといわれています。これは、ヤマネが古代に繁栄した生き物であることをさしています。このことからヤマネは、恐竜が滅んで哺乳類が多く出現し始めた新生代の第三紀に出現したということがいえます。
ヤマネの形態的特長
パッと見たときのヤマネへの印象はおそらく、その小ささ、軽さからも、大体の人は「ねずみ」もしくは「ハムスター」でしょう。また、木の枝を逆さに歩いている姿は「ムササビ」とも呼べますが、ヤマネの顔つきはどちらかというと、「ハムスター」です。しかし、ヤマネとハムスターなどのネズミ類との大きな違いは、尻尾です。ハムスターは尻尾がありませんし、ネズミの尻尾には毛がありません。ですが、ヤマネはモモンガと同様に尻尾に毛が生えているのが特徴です。
ヤマネの生態的特長
最も目を引くヤマネの生態は、冬眠です。リスなどのネズミ目に属すものも冬眠はしますが、ヤマネの比ではありません。冬眠というだけあって、大体は暖かくなると活発に行動を開始するものですが、ヤマネの場合には半年以上もの間、冬眠をしているといわれています。この生態は、日本のヤマネに限ったことではなく、各国のヤマネにも見られる生態です。この生態から、ヤマネは「不思議の国のアリス」において、「眠りネズミ」として登場しています。
ヤマネの餌と捕食方法
生きた化石であるヤマネはやはり、生物としては古い生き物であるせいか、盲腸を持っていません。そのため、繊維質の葉物の植物が食べられません。また、クルミなどの堅い殻を持つ木の実なども、それに適応する歯と筋肉を持ち合わせていないために、食べることができません。では、ヤマネはどういったものを食べて生活しているのでしょうか?答えとしては、種子や果実、また花の蜜や花粉、蛾などの昆虫を食べて生活の糧としています。
ヤマネの繁殖方法
繁殖期は、ヤマネが冬眠から目覚めて約1~2週間後から始まります。そのため、同じ国内においても、場所によっては繁殖時期が違います。ですが、だからといって繁殖行動まで違ったりするわけではありません。繁殖行動から30~39日後にヤマネの赤ちゃんが平均3~4頭、多くて6頭ほどが生まれます。因みに、ヤマネの天命は飼育環境下では最大9年。野生環境下では5年ほどだといわれています。
ヤマネの生息地域と見られる場所
絶滅が危惧され、天然記念物として国に保護されているヤマネは、特別な施設でない限りは飼育できないので、一般人がヤマネの飼育に携わることはまずできないでしょう。しかし、だからといって、ヤマネの姿を見ることができないわけではありません。山梨県にある「やまねミュージアム」では、ヤマネについての資料などが展示されており、ヤマネについて知るにはとてもよい場所です。もし、野生のヤマネを見たいと思った場合には、本州、四国、九州などの森林で見ることはできますが、夜行性なのでヤマネについて詳しい人や、夜の森林に慣れている方がいないと非常に危険です。ですので、ヤマネの観察をしたいと思う方は、やまねミュージアムのやまね学校などに参加することをオススメします。
ヤマネの種類
日本で一般的にヤマネと呼んでいるヤマネは、正式にはニホンヤマネという日本だけに存在する日本固有のヤマネなのです。ですから、日本に生息するヤマネとヨーロッパなどに生息するヤマネは種類が別なのです。また、そのヤマネによっては飼育が許可されている種類もあり、日本でも海外が原産の外来種のアフリカヤマネなどがペットとして販売され、あまり多くは流通していませんが、飼育している方もいないわけではありません。ですが、あくまでニホンが原産のヤマネ(ニホンヤマネ)は飼育どころか、一般の人では触れることすら許されていないので、その点だけは忘れないでください。