トキのプロフィール 和名:トキ 学名:Nipponia nippon目:コウノトリ目 科:トキ科 体長:70~80cm 分布:中国陝西省洋県付近 環境:湿地 |
2003年10月10日、日本に生息していた最後のトキであるキンがこの世を去りました。日本に生息していたトキは絶えてしまいましたが、現在でも日本はもちろん中国でもトキは保護されています。多くの人々の協力によってその種を守られているトキ、実はこのトキは長い間その姿を変えずに存在している生きた化石でもあるのです。
トキの生態について
トキの出現時期
絶滅が危惧されている動物としてはよく知られているトキですが、生きた化石としてはあまり知られていません。ですがトキは中国において、今から180~160万年前にあたる第四紀の氷河期の影響を受けずに、現代まで生きてきた正真正銘の生きた化石なのです。
トキの形体的特長
日本を代表する鳥でもあるトキ。そのトキの特徴とは一体どのようなものでしょうか?最もよくしられているトキの形態的な特徴といえば、やはりトキの体色ですね。パッと見は真っ白なトキですが、翼の下の方は薄いピンク色――いわゆる朱鷺色をしています。この朱鷺色は、世界的にも美しい色と称された色でもあります。また、トキの顔の部分には羽毛が生えていませんが、りんごのような鮮やかな緋色をしています。
トキの生態的特長
飛行能力のあるトキですが、トキは渡りを行う鳥ではありません。渡りを行わずに、決まった土地にずっと生息している留鳥です。時折、冬場に高地から低地に移動することはありますが、それほど遠い場所にいくことはありません。また、繁殖期にはつがいで縄張りを持って生活しますが、非繁殖期には集団で生活するという生態的特徴があります。
トキの餌と捕食方法
長く伸びたトキのくちばしは、餌が食べにくそうに見えますが、トキにとってはそんなことはありません。トキは、この長いくちばしを器用に使って水田に住んでいるドジョウなどといった餌を探しては捕食しています。因みに、中国や日本での人工飼育下では人口飼料もトキに与えられていますが、最終的なところを放鳥としているので、野性に帰す訓練のためにも、生餌をあげることが多いようです。
トキの繁殖方法
ハクチョウなどの鳥と同様に、トキも一夫一妻制でつがいを作り、繁殖を行います。一度決まったつがいは片方が命を落とすまでは変わることはありません。また、夫婦間の絆を強くするために小枝渡しや相互での羽繕いなどの行動が見られる、とても夫婦間での関係を大切にする鳥です。
また、繁殖期になると、トキはその体色を変えます。非繁殖期には綺麗な白と朱鷺色をして美しいトキですが、繁殖期になると、灰色が入りまるで別の鳥になったようになってしまい、あまり綺麗ではなくなります。
トキの生息地域と見られる場所
日本に生息していたトキは完全にその種が途絶え、現在は中国が原産となる日本に生息していたトキと、とても近い種類にあたるトキがいるだけとなっています。しかし、そのトキも生息数は少なく、人間が保護してやっと存在できているという雰囲気が否めません。現在、その中国原産のトキを日本において、人工飼育によってその個体数を増やし、その増やしたトキを日本に放鳥しようという試みがされています。ですが、現在の日本ではトキが野生で生活できるほどの自然がなく、さらにトキ自体も野生の動物として生きていく力がないため、日本での放鳥は難しいといわれています。
因みにトキは、新潟県佐渡市の「佐渡トキ保護センター」で保護、飼育がされており、トキを見ることができ、さらにトキについて色々な知識を得ることができます。また、トキの保護のための募金を行っています。トキを見たいと思うのでしたら、中国でも良いですが、佐渡トキ保護センターがオススメです。
トキの仲間
日本には、トキと名のつく鳥は「トキ」くらいしかいませんが、世界にはトキと名のつく鳥は意外にも多く存在します。しかし、どのトキも環境の変化によって絶滅が危惧されている状態であり、日本のトキのようなことになってしまう可能性は低くありません。では、日本でも見られるトキの仲間についてご紹介します。
ショウジョウトキ
トキと違い、とても綺麗な真っ赤な羽を持ったトキです。時とは真逆とも言える真っ赤な羽の色をしていますが、生まれたばかりの幼鳥は、トキと同様に黒い羽毛を纏っており、幼鳥と成鳥を見比べると、全く別の鳥に見えなくもないほどです。また、トキ同様に絶滅が危惧されています。
クロトキ(アフリカクロトキ)
クロ(黒)と付いているので、真っ黒なトキの姿を思い浮かべた方も多いと思いますが、クロトキの羽は黒くありません。クロトキが黒いのは、頭と飾り羽です。このクロトキはエジプトにおいて崇められていたトート神のモチーフとなった鳥でもあり、個体エジプトではとても神聖な鳥として崇められ、ピラミッドに丁寧に埋葬されたクロトキが数万羽あったそうです。