オウムガイのプロフィール 和名:オウムガイ 学名:Nautilus pompilius 目:オウムガイ目 科:オウムガイ科 体長:20cm前後 分布:南太平洋やオーストラリア 環境:100~600mの海水 |
オウムガイと聞くと、多くの人はアンモナイトを思い浮かべるようです。確かに殻の部分が巻貝のようになっていて、似ていますよね。ですが、オウムガイはアンモナイトの仲間ではなく、別の種類です。生きた化石の中でもかなり古い時代から生きているオウムガイとは一体どんな生き物なのでしょうか?
オウムガイの生態について
オウムガイの出現時期
オウムガイが出現したのは、今から4億5000万年前の古生代であるシルル紀からデボン紀にかけてです。オウムガイの先祖といわれているチョッカクガイは、約5億年前に出現し、それが進化した生物がオウムガイなのです。オウムガイは、4億年以上昔からほとんど姿を変えずに現代に生き残った、まさに「生きた化石」なのです。
オウムガイの形体的特長
オウムガイは殻の部分が赤と白の縞模様になっていて、いかにも南国の海の生き物って言う感じがしますよね。貝殻からは、90本近くの触手が出ています。殻の中には仕切りがあり、小さな部屋のようになっています。この部分は空洞で浮力を調節する役割を持っています。つまり、オウムガイそのものが入っている場所は、貝殻の一番外側部分になります。オウムガイは、目があまり発達しておらず視力もあまりよくありません。
オウムガイの生態的特長
オウムガイは殻の中の空洞にガスをためて浮力を得ています。そして、このガスの量を自分で調節することにより、深いところや浅いところなどに移動しているのです。タコやイカの親戚でもあるオウムガイは、彼らと同じように漏斗(ろうと)という部分から吸い込んだ海水をピューと出して、その反動で移動をします。上下の浮き沈みは浮力の調節、左右への移動は漏斗(ろうと)を利用しているのです。
普段、オウムガイは100~600mもの深い海にいます。特に昼間は深いところにいて、夜になると100mくらいの場所にまで浮上してきます。600mもの深さにいると、深海にすむ生き物のようなイメージがありますが、これ以上深い場所にもぐってしまうと殻が水圧に耐えることができない動物でもあります。
オウムガイの餌と捕食方法
オウムガイの餌と捕食方法オウムガイはタコやイカと同じ頭足類になるのですが、タコやイカほど素早く動くことができず、比較的ゆったりと移動します。そのため、生きた魚やエビやカニなどの甲殻類を捕まえることがとても苦手な生き物です。それでは、オウムガイはどんなエサを食べているのでしょうか。オウムガイは生きた魚介類を捕まえて食べることはできないので、死んだ魚介類や脱皮した殻を食べているのです。
オウムガイの繁殖方法
オウムガイの詳しい繁殖方法は、まだはっきりとわかっていません。わかっていることは、オウムガイは直径3~4cmほどの卵を産み、卵が孵化するまで約10ヶ月という長い時間をかけるということです。赤ちゃんオウムガイは産まれたときから大人と同じような形をしています。
オウムガイの飼い方
オウムガイを自宅で飼いたいという人もいるのではないでしょうか。深海近くに生息しているオウムガイを飼育することは可能です。ですが、オウムガイを飼うのはとても難しいことを覚えていてくださいね。サンゴ礁が広がる海に生息するオウムガイは海水がとても綺麗な場所でなければいけません。温度も18~20度と大きな変化があってはいけません。殺菌灯を用意し、雑菌が繁殖しないように常に気をつけてください。オウムガイにエサを与えるときも、オウムガイが食べ残したらすぐに取り除いてあげましょう。できるだけ大きめの水槽で、オウムガイのみを入れて飼育してください。
オウムガイの生息地域と見られる場所
オウムガイは暖かい海である南太平洋やインド洋、オーストラリア近海でサンゴ礁が広がっている場所に生息しています。ですが、残念ながらこれらの海に行っても野生のオウムガイを見ることはできません。日中、オウムガイが生息している海の深さは600m近くありますから、ダイビングで行くこともできませんよね。オウムガイの泳いでいる姿を見ることはできないかもしれませんが、地元の漁師さんがオウムガイを釣っているので、釣り上げたオウムガイならみることができるかもしれません。
生きているオウムガイを見たいと思ったら、水族館がオススメです。日本でオウムガイを見ることができるのは、鳥羽水族館や姫路市立水族館、志摩マリンランドなどです。鳥羽水族館ではオウムガイの繁殖にも成功していますから、赤ちゃんオウムガイを見ることもできますよ。
オウムガイの種類
オウムガイにはいくつかの種類がいて、パラオオウムガイ・ヒロベソオウムガイ・コベソオウムガイ・オオベソオウムガイそしてオウムガイの5種類です。どの種類も貝殻だけを見ていると違いはほとんどわかりません。近年の研究では、ヒロベソオウムガイとそれ以外のオウムガイのDNAが異なることから、ヒロベソオウムガイは、また別の種類かもしれないと考える説もあります。といっても、見た目はどれもほとんど同じです。