昆虫食は、食料資源に乏しい地域において重要なタンパク源として活用されてきました。それは日本のみならず世界各地においても当てはまり、昆虫食を忌避するのではなく自分たちが持つ食文化に組み込もうとする動きがあったのです。では、どのような昆虫が世界中で食べられているのでしょうか?
日本では「ゲテモノ食い」として考えられる昆虫食は、海外ではむしろ食文化の一つとして肯定的に受け止めていることが多いのです。
例えば、フランス料理の高級食材の一つであるエスカルゴは、カタツムリの一種であるリンゴマイマイを調理したものです。昆虫食に嫌悪感を覚える人は居ても、「一度はエスカルゴを食べてみたい」と考える人はいます。
このように、作り出されたイメージを凌駕するのが世界の昆虫食の持つ文化的背景なのでしょう。
世界の昆虫食の背景にあるもの
では、世界的に昆虫食が食文化に取り入れられるようになった背景には何があるのでしょうか?
例えば、前述のエスカルゴは古代ローマ人が盛んに食べていたことが知られています。古代ローマは、現代にも引けを取らないほどの栄華を誇り、美食を追及しる文化を持っていたことを考えれば、「美味だからこそ食文化に取り入れる」という柔軟さが昆虫食を取り入れる原動力となったのではないでしょうか。
また、昆虫食は食料の乏しい時の代用食料として食べられていることも、昆虫食への嫌悪感を引き下げる働きをしているのです。
世界の昆虫食の広まりの理由
では、なぜ未だに世界的に昆虫食が行われているのでしょうか? その理由の一つには経済的な食糧事情があります。
一般的に、食材となる動物や植物の育成はコスト(原価)とベネフィット(利益)の兼ね合いが大前提となります。育成が難しく出荷量が少なくなる食材は、コストが高くベネフィットが薄いと言えます。食べる機会が少なければ、売れる機会も少ないため利益に繋がらないのです。
その点昆虫は、熟練した人ならば最小限のコストで量が揃えられ利益を最大限に確保することが出来ます。もちろん、昆虫食の対象になる昆虫にもコスト高でベネフィットが薄いものもあります。しかし、それでも昆虫食は充分に利益を出せる食品であることには変わりないのです。
では、どのような昆虫が世界の昆虫食に使われ、食べられているのでしょうか。
タケツトガ
中華料理で「竹虫」として扱われるタケツトガは、高級食材の一つとして人気が高い昆虫です。食用にされるのは幼虫のタケツトガで、濃厚な味わいを持っているのが特徴です。油で炒めたり揚げたりしたものは、野菜とともに和えていただきます。
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ゲンゴロウ
日本でも昆虫食の対象とされているゲンゴロウは、水田農耕をしている地域や川辺の多い地域において親しまれてきた昆虫の一つです。日本ではやや廃れてしまっていますが、中国や東南アジアでは昆虫食として高い人気を誇っています。
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タガメ
独特の臭気を持つタガメは、タイやベトナムなどの地域で広く愛用されている昆虫です。食用に用いるだけでなく、ナンプラーにタガメを漬け込んで作ったタガメ醤油は「魔性の香り」と呼ばれるほどの臭いを醸し出し、一度使ったらやめられなくなるほどと言われています。
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蟻
日常的にありふれた昆虫の一つである蟻も、世界中で食されている昆虫の一つです。料理のアクセントとして用いたり、蜜を蓄える種の蟻をデザートにしたりと様々な食べ方が存在しています。
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セミ
日本では沖縄などでしか食べられていないセミも、海外に行けば当たり前のように食べられている昆虫の一つなのです。セミは中国や東南アジアだけでなく、アメリカでも食用にされることがある昆虫なのです。
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ミールワーム
甲虫類のゴムムシダマシ科に属する昆虫の幼虫を総称してミールワームと呼びます。繁殖が非常に容易なので、熱帯魚の餌や釣り餌などに使われています。食材としても定着していてタケツトガの代用などにも使用されています。
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